私が3年の時の夏の時点で部長は2年のいっちゃんが務めていた。新入生が入部当初は6人ほどいた中の一人、『住吉』が新入生のまとめ役の様な感じであった。そのためか早い時期から「時期部長候補」と目されていたのであるが、日が経過するにつれて出てくる新入生たちの強烈な個性の中にあって彼女はどちらかといえば「学生たる道」の王道を踏んでいる、(個人的な印象として)良くも悪くも全国の高校生の平均化した像として私には映ったのだった。子供のクセに大人ぶって背伸びしてみせるその様が妙に目に付いたのだが、必要以上に自分を大きく見せたがる人間が嫌いだった私の歯牙にかかることはない子だな、と思った。こう書くと住吉が大っ嫌いだったように映るかもしれないが、そういう訳ではないので一応弁解しておく。
夏休み期間は我々の異様な熱気に新入生の入る隙間が無いような状態であったが、それをまず打破して仲間に加わったのが住吉だった。彼女なりに高校生活にも慣れて我々の楽しみ方を理解したのだ。彼女は頭の回転が速く適応力もそれに対応しようとする気概も十分持っていた。
9月になると周さんと住吉は共に帰宅の途につく機会が増えていった。それは学校を起点にして2人の帰る方向が同じだったというだけのことだったが、縁というのはそんなものなのであろう。鈍感な私でも雰囲気のよく見えたその裏にちょっとした落とし穴があるとは思わなかったが...(笑)。
その後2人は付き合うことになったが、特に関心は向かず、賛成でも反対でもなかったのだ。だがその一報を聞いた時に(は? そうなの?)とか思ったのは、文化祭の前夜に「あお先輩のこと 口説いちゃおうかな〜」とかいう台詞を吐いた彼女の「真実」の場所がどこにあるのか益々分からなくなったからだ。
まあ当時の周さんには申し訳ない言い様かもしれないが、悪く言えば「あ〜 こういうのは ほっとけほっとけ」って感じでした(笑)。まあ場の雰囲気というのもあるし、若いなということもあるので大目に見たかもしれない。いや、自分自身がその熱気に飲み込まれて歓喜の中にあったので大して気にならなかったのだろう。
その熱気が最高点に達する文化祭ウィークがやってきた。
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