あお日記

2002年09月07日(土) 台風


 あの夏休み中に一度台風が来た。歳を取った今現在ならそんな状況を押してでも外出をする気になんかなるはずがないが、当時は行ったのだ(笑)。

 といっても予報で台風がすぐそこにはいたが、朝の時点ではまだ風雨共に穏やかで登校に支障はなかったのだ。それを確認するとなぜかまたひと眠りしてから昼近くに自転車でいつものように学校へ向けて走り出した。

 家を出るときは風だけで雨はなかったが、明らかに一雨来る前の風のざわめきを感じた。学校までは最低でも23分(自己最高/笑)。その間に雨の降らないことを祈って合羽代わりのウインドブレーカーと着替えをリュックに詰めていざ出陣!

 案の定、道中半ばで雨が降り始め、学校に着いた頃は大雨。降りはじめで合羽を着れば多少は凌げたのだろうが、元来の甘い見積もりとそれ以上の激しい天気の変化に私の思考は無力だった...。

 ただ、そんな大雨の中ひとりでエッチラと学校に向かっているその様がひどく滑稽に思えて笑みしか浮かばない。そんな私は周囲から見れば不気味だっただろう。部室に行けば誰かしらがいるはずだった。たとえこんな雨の日でもそれは私の中で確証があった。こんな台風ごときに阻まれるような半端なノリではなかったのだ、当時の我々の持っていたエネルギーは。

 普段は自転車置き場に止めて部室に歩いていくのだがそんな風雨では置き場の屋根くらいでは役に立たないので、1階の渡り廊下にあった部室の前まで行くことにした。視界はほとんど定かではないが体育館の渡り廊下で雨が凌げてからはっきりと私の視界に現れたのは、私を確認したいっちゃんの苦笑交じりの笑みだった。それは「呆れ」というより「よく来てくれた」といった歓迎の意が強かった。
「先輩、よく来ましたね!」と言った彼女の声で部室内の人間も出てきた気がする。その中には私が来るだろうと想像していたラザと舞ちゃんの姿があったはずだ。
 
 この部室の前に池があって台風になるとよく氾濫していたのだ。そうなると部室の中も浸水する。それが心配でたまたまいっちゃんが部室の外でそれを眺めていたのだろう。もしかしたらラザも一緒に見ていたのかもしれないが、少なくとも当時の私にはいっちゃんその人しか視界に入らなかった。

 なんかこう書くと薄情ヤロウだが実際私はそうだったのだろう(笑)。一人になると冷静に周囲の状況を観察できるくせにいざ仲間たちといるとその場のノリと、とりわけいっちゃんの存在に素直に魅かれる自分しかいなかった。そんな日々のちょっとした変化にラザが気がついていたのか否か、今でも聞くのが恐いのだ(笑)。




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