あお日記

2002年08月27日(火) ハマちゃんと私


 入部当初から人なつっこい姿を見せていた新入生のハマちゃんはどうもその言動が特徴的でそれを生理的に嫌う人間もいれば平気な人間もいて、彼女に対する評価はまちまちだった。もうお互いが高校を卒業して少したった頃であろうか? 私が彼女に下した評価は「多くの人から愛されてしかるべき人であるのに、愛され方を知らない人」というものに落ち着いた。そう考えた当時の私が恋愛に燃えるただの青年だったならきっとあんなに長い時間彼女との縁を維持できなかっただろう。まあそれは後で語るとして...。

 入部してからまず彼女がとった人と違う行動は、周さんやタケダなど部室に集まる男連中を全て「おにいちゃん」呼ばわりしたことだ。中でも私だけは長いこと彼女に親しみのこもった言動を受け続けたのだった。もちろん、私はタケダが彼女におネツだということは知っていたし、ラザはラザでそういった系統の女の子は嫌いだし、全く私の立つ瀬がない状況で、それでも私は成り行きに任せるしか能がないのだった。それはハマちゃんが私に寄せる親愛(少なくとも表面上は)が、彼女が本能的に私という人間の無害を感じたからだということを知っていたからだ。まあ実際、私は無害だった(笑)。もっとも無害でいたかった訳ではないが。

 ともかくも、彼女の示す無邪気で馴れ馴れしい信頼を「若いから」という責めだけで拒絶するのははばかられた。その裏に若かりし頃の彼女の身に起こった事実を容易に想像できたからだ。それは私自身が幼少の頃受けた「いじめ」という事実。
 ハマちゃんに対する周囲の評価が二分するにつれて私は彼女の過去がまたこの部室と同じように二分していった様を想像して、「子供」と呼ばれる人間の本質を「無邪気」とか「純粋」という言葉で単純にくくってしまう愚かさを感じたものだった。

 まあ、私は私なりにハマちゃんに対していくしか道はないのだ。

 
 どうもこの頃の話になると「私=中立」といったどこにも所属せずに舞台を静観していた人物のごとき印象を皆持っているのですが、まあ実際のところは、多くのことに深入りする気力がなかったというだけかもしれません。




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