私が当時部長だった1つ年下のいっちゃんに好感を持つようになったのが果たしていつのことでどのようなきっかけがあったのか、明確なものは覚えていない。というか無いかもしれない。ただ私の中だけでなく部員の大半が公認となった「ラザの片思いの相手=いっちゃん」という図式に抗ってまで強い思いにはならないというあきらめというか自負といおうか(笑)そんな気持ちがあった。
夏休みという学生特有の所有時間の中、その経過に比例して私は確実に彼女に魅かれていった。それはまた他の部員たちも男女問わず同じであったと感じている。彼女のいない我々など考えられないくらいその存在というのは特別なものだった。今思えばそれも良し悪しなのだが、年長である周さんや銀さんも彼女を中心に集団が回っている事実を実に良く盛り上げて、そのノリは秋の文化祭に向けて留まることなく加速度を増していったのが7月の後半だったと思う。
そんな中、私の書いた『秋』は評判がよろしく、巻末いわゆる「トリ」を務める作品として認知されたのだった。
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