周さんの同級生でこの学校のOBでもあった銀さんと出会ったのがいつのことだったのかはっきりとは覚えていないが、気がついたら部室の雰囲気が「誰でも来い!」という状態で、初めて遊びに来た人間でもごく普通に場に溶け込めるようなノリがあった。中でもそこに集まった人間たちに愛されたのが銀さんだった。その後、周さんと共に集まった仲間たちのけん引役を自らかってくれることになるのだが、個人的に私は彼のことがうらやましく写ったのだ。彼がいたおかげで私はそれまでは会話も交わさずにいた後輩の女の子たちともそれなりに付き合っていけるようになったのだと思います。
1学期の終業式、ホームルーム終了後は部室に行っていつものようにラザや陸上部のN、 ミルらとだべっていた。その席で先日日記に書いた私の赤点の話を通知表の赤い文字と一緒にバカみたいに話していた。(まあ実際バカだったが/笑)その時に思いがけず私の言葉を静止するように横ヤリを入れたのが1つ年下の後輩、『舞』ちゃんだった。当時の私は彼女の印象について(恐れながら)全く関心を向けていなかったのだが、あの一言は今でも覚えている。
「自慢にならないぃ!」
彼女がどんな気持ちでこの言葉を放ったのか私は確認できなかった。あまりにも意外な方向から言葉が飛んできたので彼女の表情を確認できなかったのだ。それきり、赤点の話は終わりにした。
舞ちゃんの声はかなり長く私の心に残っていた。抗議の声にも聞こえたその音が「やさしい」音色に聞こえた。 まあ今でも彼女の声は、あえて言えばアニメ系でボヤボヤした感じなんですがね(笑)。
なんでもないような始まりで、あの年の夏が始まった。
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