この部の活動は主に定期刊行物を隔月に作っているくらいで、毎日のように部室に行って活動するようなことなど何もなかった。それでも私が入部した頃から部外者も含めた人の往来が次第に増えていった。悲しいかな、男というのは女性のいるところに群がってしまう習性があるようで、私やタケダ・ラザといった男子部員の思惑に関わらず、クラスの知り合い等がやってきては部室でダベって帰っていく放課後が多かった。かつて自分も同じようにこの部に遊びに来ていたので、そういった彼らの一部を疎ましく思いつつも何もいえない立場であった。
そこで思いついた題材を入部してはじめての作品として刊行物に寄せたのだ。まあ出来上がってみたらかなり趣の違う文章になってしまって、自分としてはかなり不本意ながらも安易に載せてしまったのだ。 内容は、まあこの部を小さな社会に模しての問題提起であった訳だが、部員には堪えたのか、思わぬ反響を食らってしまったのだ。部員の姿勢がどうのと確かに書いたが、それを言いたかった訳ではなくてその行間を読み取って欲しかったのだ。
まっ、初めての批評会の日はいつもの和やかな社交場の雰囲気と違って何かマジメくさったムードがあったので、この日ばかりは部外者など近寄れなかった。私がこの作品を書いた目的も少しは果たせた訳だ(笑)。 「私たちのことそんな風に思ってたんだ」←マジメ〜な顔したいっちゃん 「今日○○さんがここに来なかったのはあなたに対する抗議の姿勢からだ」←同学年の前部長 「モーツァルトのことバカにしてるでしょ!」←音楽好きなハマちゃん
批判は全て同学年から下の世代に集中。なお上の世代はといえば...
「やれやれ〜 もっとやれ〜」←杏さん 「弁護する気はないが、オレは共感するとこもあるよ」←周さん
と年上には評判がいい。
まあともあれ、この作品で私の鮮烈デビューは見事に弾けたインパクトとなったのだ。多くの女性部員が思っていたであろうただの物静かにスカしていた私のイメージはこれで変化したのだろう、多分。
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