あお日記

2002年08月21日(水) 投げやり


 嶋さんから春休みのおわびとお礼の返事が来たのは新学期が始まった頃だった。私が彼女の手紙を心待ちに待っていたのは文通の最初の頃、まあ2年の2学期頃までであり、それまでは彼女に手紙を出すと毎日のように帰宅した足でポストを確認していた。それが意見を話しても文通には限界があって、彼女の意見が帰ってくる前に自分でどんどん悪循環を繰り返すようになったころからポストを覗かなくなった。
 こんな姿や考え方で嶋さんが喜ぶはずはない、ということは分かっていた。自分の中に押し寄せるこの無気力をそれまでは彼女に隠していた。それが春休みに私のあんな姿を見せたにもかかわらず、彼女のその手紙に「何でも話せるあいだがらでいようね」という一句を書いてくれたのを見つけて、自分の現況や周囲の人間関係で感じていることを素直に話したくなって、吟味して書き連ねた返事を書いた。
 今振り返ると私も嶋さんもお互いを求めながらも自分のことだけで精一杯な状態だった。私は今のように相手の考えを聞く余裕などはなかったし、まして反論を受け入れる体制など整ってはいなかったのだ。彼女の返事はまるで子供に言い聞かせる母親のような口調で、家族というものに冷淡だった自分に初めて反感を抱かせる手紙だったのだ。


 嶋さんのその手紙を今ひも解くと、反感を抱いた当時の自分が全く残念でならない。まあ私も時間を経てただ生きてきたのではなく、そういう思いになれるような変化をもたらす出会いがあったのだ。それは望んでいる時に得られるものではなく、あるいは不意に、またある時は偽物だったりして自分なりに判断してきたからこそ得られたのだ。そして何より「自分」を探し出したこと。あの頃の私はまだそれを探すことすら侭ならないちっぽけな子供でしかなかった。

 私の人生にこんな素晴らしい人がまた一人関わっていたと発見できたのも、この日記を書き始めたからである。私の過去も捨てたもんじゃないな、と思ってみたりした今日(笑)。 




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