3年に進級してタケダは1組、私は10組。正直言って3年の時にあっちの校舎で彼がどんな学校生活を送っていたのか全く知らない。私が知っている彼は文芸部の部室で会っている時の彼だけだった。そんな彼が紆余曲折の末、このクラスで出会った女性と今は所帯を持って一児の父なのだから尚更残念でならないのだ(笑)。
で、3年のクラスに入ってはじめての自己紹介の時、またタケダ語録が増えることになった。といってもかなり時間がたったので今となっては本人に確認しないと思い出せない(爆)。
「紹介も何も、こんな学校すぐにでも辞めるのでしません」
みたいな事を言うものだから、クラスも騒然となるは担任に呼び出されるは家庭訪問もあったか? ただ私はタケダがそういったことを言う状況は把握できなくても、彼にそれを言わせた心境はなんとなく理解していた。それはただ若気の至りでしかなかったことかもしれないが、当時の彼や私が思い悩む「対人間」という題名には真剣なものがあったのだ。今でこそ笑い話ですがねぇ。
そんな私たちに、知的な興味を示してくれる先輩や顧問のいた文芸部は時間の経過に比例して、自分たちの望む「居場所」となっていったのである。
「恋愛」のもたらす危険な甘美と憎悪、その内包する場所に我々は魅かれていくのだった。
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