あお日記

2002年08月18日(日) 後輩


 3年に進級してまあ曲がりなりにも最上級生となった訳で、そんな感覚はあまり気にする性格ではなかったのですが、事実として2歳年下の1年生が入部してくるとこんな自分でも幾分大人じみているようにも感じたのでした。全くもって勘違いヤロウです(笑)。
 
 1つ年上の先輩たちは寡黙な私にもよく話しかける人々だったので私も慣れたせいかそこそこ声を発するようになったのですが、1つ下の2年生にいた女子3人とはほとんど話をした記憶がありませんでした。実際私が比較的気楽に話が出来るようになったのは新入生たちのほうが先で、6人入部した中でも『ハマ』ちゃんという子が何故かすぐ私になついてしまったので、そのおかげといっては何ですが、新入生たちに取っ付きやすい環境を彼女が用意してくれたのでした。


 タケダの顔つきがこれまでのとぼけたものから徐々にしっかりとした目付きに変化したのは、彼の中に具体的な恋が新しく芽生えたからだろう。彼の持つ言動やイメージとは程遠い、学校生活の中に根付いた由緒正しい図式を目の当たりにした私は彼のその心境の変化にいささか戸惑いをおぼえてしまった。「自己紹介で辞めるとか何とか言ったのはなんだったんだ?」って(笑)。

「新入生の中にさ〜 これまた美人な子が入ってさぁ...♪」といって本気で喜んでいるタケダの恋はこの時すでに始まっていたのだろう。ラザが『いっちゃん』を好きになった時の場合とほぼ同じ状況だったのですが、すでに対面はしているであろうその子の姿を私は思い出せないでいるのだった。「きれい」とか「美人」という断片的な情報を聞いて知っていても、耳打ちされるまでそれが誰だか確認する気にはならなかったしそんな性格でもなかった。
 で、それがハマちゃんだったわけであり、友人の片思いのその相手が、何故か影の薄いであろう私になついてしまって、3年の1学期は「我ながら子供っぽいことで困ってるな」と苦笑しつつも、これまでの生活にはなかった快楽を感じつつあった。

 自分の容姿だけで判断されることに入学当初ほど嫌悪を感じなくなっていたのではなく、それは「ハマちゃん」という子だったから私は許せたのだろう。「無邪気」という言葉のよく似合う彼女が受けた評価は逆の「わがまま」であったりもして、少なくとも私は彼女の持つその個性を認めるようになっていった。




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