あお日記

2002年08月07日(水) 大雪


 何月かは忘れたのですが、3学期のとある日は朝から大雪。さすがに自転車では通学できないので電車で行こうとしたのですが、通常よりも遅れ気味。やっと乗った車内は人間の熱気で頭のほうだけムレムレ。これだから電車は大嫌いなのだ。
 朝のホームルームの時間が過ぎてもまだ教室には半分にも満たない生徒しかいない。入学当時の自分ならこの状況をみて不愉快にもなったのだろうが、慣れたのか関心がなくなったのか、それとも自分の器を正確に把握したからなのか、大して何も感じずに人間が集まるのを待った。

 結局この日は授業なしで強制下校。といっても私は生物室で金魚のエサやりとニワトリの世話があったので、再び教室に戻ったときにはほとんどの生徒がいない状況。まったくもって帰るのは早いものである。

 いちおう誰か残ってはいないかと文芸部の部室を訪ねた気がする。案の定、一人だけ残っていたのがラザだった。

 身長が180オーバーで若干細身のラザは性格的に目立つわけではないのに、なぜか会話を交わす前の1年次から私は彼の存在を知っていた。敢えて言えば、かつてテニスで一世風靡したかのイワン・レンドル(知らない方、すいません)に似たルックスで彼には隠れファンが多くいたという噂があった。部室にあったテニスラケットでたまにマネをしてくれた(でも似てない/笑)。

 そんなラザと2人だけで帰宅の途についた始めての日がこの大雪の日でした。今ではそのときの模様など覚えてもいないのですが、人間嫌いな自分にしては特に敬遠する気持ちもなく、ぎこちないながらも不思議と彼との会話に集中する自分がいた。

 彼が想いを寄せる1年生の『いっちゃん』の話もしたのだろうが、残念ながら彼女について彼を納得させるような模範的返答などできるはずもなく、そして私にとっての『嶋さん』の存在を正確に伝えることも出来ず、時間だけは勝手に進んでいくのであった。この時の私は「ラザの好きな人」に対する興味はあったが「いっちゃん」その個人には全く目が向かず姿すら思い出せない状態だった。ラザはラザで、私の中にいる嶋さんのことをタケダから伝聞されただけであったので、傍から見る「浮いたような話」のできない貧しい少年同士だった(笑)。

 この半年後、私はラザといっちゃんの関係について思い悩むようになるのだった。




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