僕らの日常
 mirin



  World@?

もう誰も居なくなってしまった
白い霧だけがここには残り
白く澄んだ様な静寂が包み込む様に街は音を奪われた。

そこに残っていたのは、たった一つの


  " d o l l "

白い手足には、くっきりとした管節部分が残っていた。
繋げて、ただ貼りつけた後といった感じの身体だった。
その固体の名前は、dollという

数年前、朽ち果てた街に捨てられていった
心を引きぬかれていった"doll"

その頃、"doll"の心は人間という生物にとっては
大変に高価な代物だった。

「狩」そんな言葉に近い

身体の胸を開き、その固体にとっての心の臓を取り出す
取りだし、用のなくなった身体は、感情を忘れ廃棄物と化す

廃棄された"doll"は、心臓を失うことにより
それが当然の行為だと思い何も気づかない。

dollの心の臓は、本当はただの鉄クズだ。
木材から生まれる doll 機材から生まれる doll
偶然の産物か人の手の温もりか、生まれ方は様々で・・・

けれど、その内部の鉄クズの変化によっては
秘宝になり、人の懐を温かくしていた。

 人の心も温もりに満ちていく
   それを願って作られた筈の "doll"なのに

一体、いつの間にこんなことになってしまったのだろうか

人が亡者となる程に荒んだ世界に誰が彼らを生み出した。


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2003年03月01日(土)
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