川崎連絡会議日報

2004年09月13日(月) 人権指針骨子案への意見 

川崎市に、以下の意見を送りました。
上田

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<1>
 いったい、市民から何通の意見が届いているのだろうか。
 そもそも、意見をどう指針に反映させていくのだろうか。誰が判断するのか。
 まず、疑問がつのります。

<2>
 基本理念として、「人権の尊重、社会参加の促進、自立へ向けて支援」をあげて、その施策推進の方向として「1.行政サービスの充実、2.多文化共生教育の推進、3.社会参加の促進、4.共生社会の形成、5.施策の推進体制の整備」をあげています。
 実に「すばらしい!」ですね。文句のつけようがありません!!
 
 しかし、いったいいつの時代のことを言っているですか。
 国会では有事法制が通過し、自衛隊がイラクまで派遣されているのです。憲法9条はいまやなし崩し状態です。思想・信条の自由が蹂躙されている時代に入っているのではないですか。

 「人権の尊重」、たしかにきれいな言葉です。しかし、今日本で、世界で何が起こっているのでしょうか。指針と現実があまりにもかけ離れています。
 現実をしっかり見てください。

 人権・平和が蹂躙されている時代に、「人権の尊重」はどうやって守るのでしょうか。市民局人権・男女共同参画質の皆さんにはこれがわかっているのでしょうか。

<3>
 まず、人権指針を作るというのであれば、阿部市長の「準会員」発言を撤回し、謝罪すべきです。
 それがない人権指針などまやかしですし、市民を愚弄するものです。

 行政のトップが「準会員」と在日外国人に対する差別意識を持っているのに、その下で働く職員が自分たちはこれまで通り変わらずやっています、やりますということを信じることができるのでしょうか。
 決裁権が最終的には市長にあるとき、職員がこれを無視して(逆らって)意見を通すことが可能なのでしょうか。

<2>
 全体を一通り見てみると、「外国人市民グループ、ボランティア団体への支援」がよく出てきます。川崎にも外国人市民関係のNPO法人もありますが、こうしたところを行政のもとにより取り込んでいこうという意図が読み取れるような気がします。

 この外国人市民グループの中には、川崎連絡会議は入っているのでしょうか。
どんな団体を想定しているのでしょうか。具体的には何を考えているのですか。

 さらに、「1.行政サービスの充実」では、(7)防災の項目を作り、「災害時に外国人が差別されることなく、適切な情報提供や対応が行われる体制を整備し、そのために市民グループ、ボランティア団体などとの連携に努める」と、しています。

 「国民保護法制」では、自主防災組織の育成がうたわれ、また「国民保護協議会」設置の義務も定められました。協議会には自衛隊幹部、警察本部長、教育長も参加します。
 日常的な戦争協力の施策が検討されていくわけですが、ここに「防災」という形で住民(外国籍市民も含めた)を組織しようという意図です。

 こういう形で住民を組織し=管理し、戦争反対とか異議を唱えることを封じようとしているのではないか、と考えられます。

<3>
 「4.共生社会の推進」では、(2)行政職員の採用では、「a、公務員採用の国籍条項の見直しについては、国の動向を踏まえ、ほかの自治体と連携しながら検討していく。b、外国人を採用することが適している職に、外国人市民を積極的に登用していく。」としています。

 まずは「運用規程」で新たな差別制度を作っていることそのものの問題をはっきりさせなければいけないと思います。労働基準法にも違反する「運用規程」を廃止せよ、ということです。

<4>
 最後に「川崎市の主な外国人市民施策の推移」があります。
 「本市では、1970年代から、市民が国籍や文化、言葉の違いなどによって社会的な不利益を受けないよう、制度の改善や教育、啓発などの施策に取り組んできました」として、「1972年 市内在住外国人への国民健康保険の適用」からあげています。

 川崎連絡会議の会員である日立就職差別裁判の当事者である朴鐘碩さんは交渉で、「1970年とはどういう年だったのか」と、繰り返し市側に回答を求めましたが、回答はあいまいでした。

 川崎市は1999年作成された「川崎市 人権関連総括年表」で、1970年日立就職差別裁判の項目が削除されていることに、その誤りを認め今後啓発誌などには掲載していくことを約束しました。しかし、今回もこの約束が守られていません。

 削除は決して意図的ではないといっていますが、今回も訂正されていないということは、明らかに意図的であるとしか思えません。

 私たちは、今後とも、市との交渉を通じて、問題点を明らかにしていきたいと思っています。


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