2004年08月10日(火) |
「準会員」発言を容認したままでの人権指針とは? |
川崎市のホームページに人権指針の骨子案が掲載されました。 http://www.city.kawasaki.jp/25/25zinken/home/gaikoku/shishin.htm
以下、一通り、読んでみた感想と意見です。
上田
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<1> 川崎市は、外国人市民施策の基本方針として「(仮称)川崎市多文化共生社会推進指針」の策定を進め、そのための骨子案を発表しました。
基本理念として、「人権の尊重、社会参加の促進、自立へ向けて支援」をあげて、その施策推進の方向として「1.行政サービスの充実、2.多文化共生教育の推進、3.社会参加の促進、4.共生社会の形成、5.施策の推進体制の整備」をあげています。
これはこれとして読めば「すばらしい」ものでしょう。 しかし、今起こっている問題や社会状況との関連で見ていかない限り、基本理念や具体的な施策もあいまいになっていくことになります。
有事法制の制定によって、国と地方(自治)のあり方も一変していきます。 また、阿部市長の「準会員」発言は相容れないものですし、まず謝罪し、撤回があってしかるべきだと思います。 これをあいまいにしたまま進められる外国人市民施策とはいったい何なのかということです。
<2> 全体を一通り見てみると、「外国人市民グループ、ボランティア団体への支援」がよく出てきます。川崎にも外国人市民関係のNPO法人もありますが、こうしたところを行政のもとにより取り込んでいこうという意図が読み取れるような気がします。
この外国人市民グループの中には、川崎連絡会議は入っているのでしょうか。そうは考えられない(?)
さらに、「1.行政サービスの充実」では、(7)防災の項目を作り、「災害時に外国人が差別されることなく、適切な情報提供や対応が行われる体制を整備し、そのために市民グループ、ボランティア団体などとの連携に努める」と、しています。
「国民保護法制」では、自主防災組織の育成がうたわれ、また「国民保護協議会」設置の義務も定められました。協議会には自衛隊幹部、警察本部長、教育長も参加します。 日常的な戦争協力の施策が検討されていくわけですが、ここに「防災」という形で住民(外国籍市民も含めた)を組織しようという意図です。
こういう形で住民を組織し=管理し、戦争反対とか異議を唱えることを封じようとしているのではないか、と考えられます。
<3> 「4.共生社会の推進」では、(2)行政職員の採用では、「a、公務員採用の国籍条項の見直しについては、国の動向を踏まえ、ほかの自治体と連携しながら検討していく。b、外国人を採用することが適している職に、外国人市民を積極的に登用していく。」としています。
これは、市が主張していることですが、まずは「運用規程」で新たな差別制度を作っていることそのものの問題をはっきりさせなければいけないと思います。労働基準法にも違反する「運用規程」を廃止せよ、ということです。
<4> 最後に「川崎市の主な外国人市民施策の推移」があります。 本市では、1970年代から、市民が国籍や文化、言葉の違いなどによって社会的な不利益を受けないよう、制度の改善や教育、啓発などの施策に取り組んできました」 として、 「1972年 市内在住外国人への国民健康保険の適用 」からあげています。
この点も前回の交渉でも、また以前にも追及しました。「1970年、何があったのか」。日立就職差別裁判の当事者である朴鐘碩さんは繰り返し市側に回答を求めましたが、回答はあいまいでした。
川崎市は1999年作成された「川崎市 人権関連総括年表」で、1970年日立就職差別裁判の項目が削除されていることに、その誤りを認め今後啓発誌などには掲載していくことを約束しました。 しかし、今回もこの約束が守られていません。
「準会員」発言、有事法制制定、そして日立闘争の(意図的な)削除は、ひとつにつながっているといえるでしょう。
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