残暑はなかなか結構ひりりひりりと暑い
NNのおっさん2人の妄想とか自分の日々とか色々書いてます

1999年01月05日(火) キスについて

窓の外、
もう見慣れてしまった街は、
狭い癖にいろんなものに溢れている。
そういうものを眺めていると、今日の一連の事を思い出す。



もう何度もしている事。
毎回理由をつけて、いちいち嫌がられながら。
結局気持ちいいくせに。

ずっと一緒にいるが、公私は混同していないつもりだった。

嫌がるのは、そういう線引きをする為の一種の儀式的なもので
公然の場であることを忘れないためのものだ。
ただ、それだけ。


忌々しく煙草に火をつける。
慣れた動作。
これも、アレも、変わらない。


「なーに考えてるんすか」

矢部の声。
ちらりと見やると、いつもの顔。
“何を考えているか分からない”と言われるのも、分かる気がする。
心の変化を人前で出さないのは、相方の良い所であり悪い所でもある。

「べつに」

自分だけは、彼の些細な表情の変化を読取ることが出来たはずだ。
それなのに何故こんなにモヤモヤするのか。
次にどんな行動に出るのか、自分でも分かりかねている。
ただ、できるだけ深く考えたくはなかった。



「岡村さん」

「なによ」


煮え切らない気持ちの正体が分からないなら
答えは相方に委ねてしまうのが一番楽かも知れない。
煙草を消して、相方と向き合って
次の言葉を待つ。


「口直し、します?」



返事をする間もなく、次の瞬間には自然と目を閉じていた。


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油木かい [MAIL]