狂言始め - 2004年02月17日(火) 2004年の狂言始めは、11日から始まっている 世田谷パブリックシアターでの「狂言劇場」。 これは萬斎氏が、伝統芸能(狂言)を現代劇とを 同列に並べて考えてみる、という試みである。 能楽堂以外での狂言公演と言えば、確かに普及公演などで使われる、 公会堂のような場所の大ホールが多い。 舞台に仮設の能舞台が置かれ、そこに創られる空間も、 どことなく借り物のような気がするものだ。 今回は「能舞台をまるごと現代劇の劇場へ持ってきてしまおう」 ということで、世田谷パブリックシアターの舞台には、 三方向にかかる橋掛かりをもつ、檜舞台が造られていた。 この三方向の橋掛かりが、舞、能楽囃子、 そして狂言の曲自体が持つ、幻想的で不思議な世界を、 より強く感じられるものにする効果を生んでいた。 奥行きの広がった能舞台は、退場する演者の後ろ姿に、 そしてその場に残される観客に心地よい余韻を残し、 不思議世界へのトリップを愛おしむ時間を与えてくれたようであった。 Aプログラム、Bプログラムと、演目にも幅を持たせ、 儀礼的要素の強い舞から、 わかりやすくエンターテイニングな狂言まで、 とても贅沢な演目となっていた。 すでにAプログラムは12日に鑑賞。 待ちに待った萬斎さんの三番叟に感動し、 おまけに亀井広忠さんの大鼓を 生で堪能できちゃうなんて機会に恵まれ、 大満足、大感激の狂言劇場。 (情熱大陸を見てから、今年は絶対に亀井さんの大鼓での能を見よう、と思っていたのだ) 本日はそのBプログラムを見に行く。 同行者は、狂言初体験の真由美さん。もちろん着物で。 まずは真由美嬢の本日の出で立ち。 初めてお誂えをしたという黒い小紋は、 猫がちょこちょこと散らばっているのである。 変わり縞なんだけど、その猫の柄は一見したところ猫には見えず。 ん・・・?と見てみると、座っている猫なのだ。 あまりはっきりしていないところがいいと思う。 私も猫好きなので、よく猫柄の小物、猫の染め帯などを勧められたりするけれど、 あまり気に入ったものがない。 動物の柄って、けっこうおしゃれに身につけるのは難しいと思うのよね。 和風のねこモチーフを取り入れる気にはまずならないし・・・。 羽織をぬいでもらって帯のお太鼓部分の写真を撮らせてもらえばよかった。 ちょっと変わった柄なんだけど、この柄の色に合わせて、 小物には赤を効かせ色にして使っている。 叔母さまからいただいというバッグ、かわいいなぁ。 バッグと言えば、サブバッグの素敵なものが欲しいのだった。 けっこういろいろ持って歩いてしまうので、 ある程度の大きさがないとものが収まらない。 黒い無地の紬と江戸小紋のあまり布で、 バッグを作ってもらうことを計画中。 江戸小紋を内側にして、黒い無地を表にすれば、 着物を選ばずに持てるでしょ。 ちらっと見える小紋がなかなかだと思うんだよね。 真由美嬢の足下は、市松下駄 この前の銀座での初デートにて、 真由美さんがかわの屋で購入したのはこの下駄。 私のは赤い縁取りなんだけど、こちらはご覧のように黒。 お草履派だった彼女は、着物に下駄は初体験だったようだが、 下駄の高さもお気に召したようである。 私は鼻緒も太め、下駄もこっぽりのような高いものが多いから、 このぐらいの高さだと、もう少しあってもいいかな、 と思ってしまうんだけど。きっとこの市松鼻緒の下駄、万能だよ。 着物を色を選ばずにはけちゃうと思う。 かわの屋さんには、他にも素敵な下駄があったので、 履き物の面でも要チェック。 私はと言えば、Aプログラムを見た時に、万作さんも萬斎さんも衣装が格子だったので、 格子繋がりにしよう、とこの着物に決定。 でも、Bプログラムの衣装は、格子じゃなくて、縞だったわ・・・。 朱茶の鼻緒の桐下駄に、バッグは母の山ぶどうの籠を拝借。 今日は帯揚げも帯締めも横にずらしてみた。 帯揚げの桜の花の赤と、 帯の万寿菊の赤を合わせてみたんだけどね。 この帯、かわの屋さんで見て一目惚れだったもの。その日は我慢して帰ったものの、後日、やっぱりどうしても欲しくて 結局お買い上げ・・・。仕立てたいと思っている反物があるのだが、年末からずっと、その仕立て代が他のものへと化けてしまっている。あの反物、今年もまた眠ったままかしら・・・。 この万寿菊の昼夜帯、長さは袋帯ぐらいあるの。 4mぐらいの長さなので、二重太鼓にちょうどいい長さの帯だが、 できないのでむりやり一重太鼓。 手先をかなり長くとって、お太鼓の中で一折りしてある。 帯芯もすごくやわらないものが入っているので、 きっと二重太鼓の方がしっかりと形になるんだろうな。 今度は角だしに挑戦。どの着物に合わせようか、考えるだけで楽しい。 母もすごく気に入ったようで、ちょっとほっとする。 やっぱりまだまだ母は私の着物ご意見番だし。 むかし着物も、このぐらいに取り入れながら綺麗に着たいなぁ、と思うのだった。 真由美さんの狂言初体験は楽しいものだったようで、 誘った私もほっと安心。 当日はアフターセミナーがあり、 比較文化が専門の小谷野敦さんがゲストだった。 事前に友達から、キャラがたっていておもしろい人だと聞いていたんだけど、 (友達は、私が彼を知らないことに驚いていたが・・・) 舞台に登場した時からあふれでる強い「キャラ」には脱帽。 もちろん話しも興味深く、毒舌ぶりもなかなかのものだった。 狂言の「鬼瓦」を、坂口安吾が誤読しているって話は、 途中からトークに加わった萬斎さんも へぇぇぇぇぇ〜。 もてない男立ち読みします〜。 -
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