ロマンチックはやっぱり好きかも・・・ - 2003年06月19日(木) 実は、単衣の着物はポリエステルのものしか持っていない。 仕立てないかと勧められるのだが、 長く楽しみたい、と思ってしまうので、 結局のところ袷にしてしまう。 仕事柄、6月というのはけっこうバタバタして、 週末でも着物を着て出掛けるという余裕などほとんどない状態だ。 雨が降ることも多いし、 ならば、濡れても安心ポリエステルでいいじゃないか、 と思ってしまう。 でもね・・・ちょっとしたところへのお出掛けには、 やっぱりポリエステルじゃないものがいいな、という気持ちも嘘じゃない。 そこで、去年は正確に分類すると浴衣のカテゴリーに入るんだけど、 きちんとお襦袢を着れば、単衣の着物としても、 夏の着物として楽しめる、という木綿のものと、麻混のものを仕立てた。 これがけっこう重宝することとなった。 さて、本日は待ちに待った萬斎氏のハムレット。 お世話になっているおがわやのけいこさんもファンだというので、 お誘いして一緒にお出掛け。 けいこさんは単衣を仕立ててるところだ、と言っていたけど、 私はどうしようかな・・・と5月の半ば頃にふと思った。 「やっぱりポリじゃヤダなぁ・・・。」 そんなに気合いをいれる必要のない劇場なんだけどね。 でも、今回は前から6列目の席。世田谷パブリックシアターは、 こじんまりとした劇場なので、6列目といえども、かなりステージには近い。 「萬斎さまに見られちゃうかもしれないから、 やっぱりちゃんと着なくちゃ!」 (そんなことは絶対ない・・・) と、バカなことを口ばしりながら、 母の絞りの浴衣地を仕立てることに決定。 これはもう5、6年前に購入し、ずっと箪笥に眠っていたのだが、 本人は兵児帯として使う予定だったらしい。 切ってしまうのはもったいない・・・と言い続けた結果、 有り難いことに、頂戴することになってしまった。ラッキー。 普通の袖丈じゃつまらない・・・。 とってもロマンチックな絞りなので、お袖もふりふり長めにしよう! 身丈をいつもより短めにしてもらい、 その分、袖をぎりぎりまで長くだしてもらうことにした。 結果、5寸ちょっとの袖の長さになった。 これに合わせて襦袢を作るのも無駄なので、 麻の襦袢地で袖だけ作ってもらい、 おまけに着物の袖に縫いつけてもらった。 うーーん、これごと洗えちゃうからいいかも。 当日は、着ている姿を撮っている時間がなかったので、 今日はコーディネートだけ。 帯は紫陽花柄の絹の夏帯。 木綿の浴衣地が、帯を絹にすることでぐっと格が上がる。 帯揚げは蜻蛉柄。これに、やはり薄いライトグリーンの絽縮緬の半襟を合わせた。 これ、浴衣として着るのはもったいない。 色といい、絞りの柄といい、母の選ぶセンスには脱帽だ。 これが紺色だったら、やっぱり浴衣だったかもしれない。 でも、このなんとも言えない草色のグラデーションが、 初夏の単衣の時期にはぴったりである。 正面はこんな感じ。 帯揚げのピンクと同じトーンのピンクの鼻緒のエナメルの草履を合わせた。 最初は帯揚げと帯締めを、同じトーンの水色で合わせてみたが、 この絞りのロマンチックを楽しむには、この組み合わせで正解だった。 絞りをアップで見てみると・・・ 着てみると、びっくりするほど軽い。 ちょっと長めの丸い袖がフリフリと揺れて、 なんか、くすぐったいような気分だった。 けいこさんは絞り&蜻蛉つながりのコーディネート。 さすがだなぁ。 2人の着物の雰囲気がずれないようにちゃんと考えてるんだもん。 さてさて、萬斎ハムレット。ポスターの萬斎ハムレットは、 髪型も短くすっきりと、さわやか系青年ハムレットだったのに。 舞台に後ろ姿で登場のハムレットは、 肩よりちょっと長めのいわゆるロンゲってやつ(死語ですか?)。 えーーっ? と思っているうちに、 最初のセリフで私に(否、客席に)振り向く。 そこにいたのは落ち武者のようなハムレットだった。 いえいえ、素敵だったのは間違いないの。 ただね・・・、何かに似てる、 うん、落ち武者だ、と頭をよぎってしまったら、 なかなか頭から離れないのよ。 初日明けまだ3日目の公演のせいか、 ちょっとセリフが聞き取りにくいところがあったりしたけれど、 おそらく7月に入れば、かなりよくなるのではないかしら。 7月にまた、落ち武者ハムレットに会えるのが楽しみ。 今度は夏の着物で参りましょう。 -
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