麻の葉への思い - 2003年04月05日(土) 私の名前には、麻という字が使われている。 植物の麻のように、芯の強い人に育って欲しいという思いがこめられているそうだ。 果たして、今、その思いに答えられているかどうか、 その辺りは曖昧にしておこう。 誰でも自分の名前に使われている字には、 思い入れというか、愛着というか、そういうものがあると思う。 私も、麻、に対する思いは強い。 麻素材の洋服も好んでよく着ている。 ちょっとかための肌触り、かといってごわごわしているわけではない。 ほどよくしわになった麻の布は、 身に纏った余韻を語っているようで大好きだ。 無地のピンクの紬を仕立てる時に、背中におしゃれ紋を入れることにした。 さて、どんなものがいいだろうと考えていた時に、 麻の葉柄、というものがあることを知った。 これが麻の葉なのか・・・とピンとこなかったのだが、 後日、麻の木の葉っぱを見て、なるほど、と思った。 麻の葉柄を身につけると健康でいられるというそうで、 着物の柄としても、長襦袢の柄としても、 ポピュラーなものであることは間違いない。 こうなってくると、麻の葉柄は否応にも目についてくるものである。 まず手に入れやすいのは小物。 麻の葉柄の帯揚げが、あれよあれよという間に増えてしまった。 絞りのものや、染めのもの、夏用の帯揚げもある。 そして長襦袢も仕立ててしまった。 私、いつか麻の葉の着物が欲しいんです。 大きい、総柄の麻の葉の着物。 そう言ったのはおそらく去年の冬の終わり頃のことだったと思う。 そして、その年の夏の終わりに出会いはやってきた。 私がイメージしている麻の葉に近いのではないか、ということだった。 私の前にひろがった茜で染められた総絞りの麻の葉は、 よく目にする麻の葉よりは丸みを帯びたちょっと変わったものだった。 その丸みが、麻の葉柄がもつ、きもち渋めの印象を、 なんともかわいらしい暖かみのあるものに変えてしまっていた。 もう、これ絶対でしょ・・・ お茶目な麻の葉の着物でしょ。 最初に着ていく場所に選んだのは、西片にある、ルリスダンラバレ。 谷間の百合、という名前のフレンチレストランである。 オーナーご自身の家がレストランとして提供されている。 その昔、造船学の教授が建てたというそのお屋敷には、 数々の古い調度品が飾られ、その内装も時代を感じさせるものだ。 フレンチということで、ワインボトルとグラスが染められた半襟を選び、 帯留めにもワインボトルのモチーフを使った。 麻の葉くろーずあっぷ♪ ぱっとみて麻の葉には見えない、と言われたけれど、染めた方が麻の葉です、 と言っているので間違いなし。絞りなので、たっぷりとふっくらとしていて、 着物をたたんだ時のボリュームがすごい。そして、とっても暖かい。 立ち姿はこんな。 着物のインパクトが強いので、あまり色を使わないことにした。 帯は塩瀬の染め帯。お太鼓部分の柄は、またの機会に披露させてもらおう。 芝居好きの私にはたまらない柄なのだ。 レストランのお食事は、百合が描かれたオリジナルのお皿でいただいた。 おいしいワインと、居心地の良い空間で、タイムスリップした気分だった。 雨がひどく降っていたので、庭を見ることができなかったが、 こじんまりとした庭も大変心地よいとのこと。 次は是非、お天気の良い日にゆっくりとランチをいただきたい。 その時も、やっぱりこの麻の葉の着物がいいかな。 とっておきの一枚、とっておきの私。 -
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