夜叉ヶ池にて思ったことは・・・ - 2003年03月31日(月) 男闘呼組と書いて、おとこぐみ、と読む・・・。 なんとも時代を感じさせるあて字。 本日は、かつて、このジャニーズ事務所のバンドにいた岡本健一の舞台を初めて見に行く。 昔、けっこう好きだったのよね。 しばらく姿を見ないでいるうちに、すっかり役者づいてしまい、 舞台人になっているように思えたので、一度見たいと思っていたのだった。 その岡本健一が、花組芝居の「夜叉ヶ池」再演に出演するというじゃないの。 そりゃ見なくちゃでしょ〜!!花組芝居は男性のみの劇団である。 「ネオかぶき」と称して、演出家、加納幸和は、歌舞伎が「その時代」に斬新で、 奇抜で、サービス精神旺盛だったように、the 歌舞伎spiritに満ちた世界を繰り広げる。 更に、東京グローブ座がジャニーズ事務所の持ち物になってしまった今、 あの劇場へ足を運ぶのは、こんな機会でもなければ、もう2度とないかもしれないし。 劇場へ足を踏み入れて思うこと・・・芝居を見にきたって雰囲気じゃないなぁ。 夜叉ヶ池なら、大正ロマンにすればよかったかな、と思ったけれど、 この羽織に袖を通したかったから、いつもの紬で観劇。 これは母の羽織だったものを、洗い張りして、 私の寸法で単衣の長羽織に仕立て直したもの。春先にはぴったり。 地色が白なのがいいでしょ。柄もすごくかわいい♪ 母がこれを見て、自分の寸法で仕立て直せばよかった、と悔しがっていた。 着物とのバランスはこんな感じ。 今日の効かせ色は赤。羽織の赤い花に合わせて、 羽織ひも、バッグ、小さめの赤のピアス、 それからお草履の鼻緒のつぼも赤とした。 お太鼓部分です。 この帯はおがわやのオリジナル。この紬に合わせた。 自分で買った初めての着物と帯である。愛着もたっぷりなの。 お太鼓の下のたれの部分が無地の名古屋帯が多いけれど、 私はここにも柄がある方が好き。 アクセントの三日月がロマンチックでしょ。 さて、お芝居はと言えば・・・。 花組芝居の夜叉ヶ池は、カーニバルだった。 泉鏡花の幻想的で妖しい世界は、異なる次元で幻想的であり、妖しいものだった。 いやはや確かに、どちらも狂気、狂乱の世界なり。 そして・・・ 岡本健一くんってば、美しくて、華奢で、まぁ、素敵♪ と、ここで締めくくりたいのだが、そうもいかない。 舞台上での岡本くんは、残念なことに存在感にあふれていたとは言い難い。 花組芝居の役者陣のおかげで、舞台が成り立っていたというほかない。 岡本くんは、舞台が好きで、芝居が好きで、おそらく彼なりの美学を持って臨んでいるに違いない。 でも、それだけでは成り立たないのがこの世界。 共演の元光源氏の佐藤アツヒロの方が、運動神経がいい分、上手だった。 体が・・・硬いのよ。 言葉が口から発せられるだけで、体がついてないのよ。 ゆえに、学芸会ふうになってしまう。 訓練でなんとかなるものなら、がんばって欲しい、と切に思った。 だって、岡本くんの舞台愛を成就させてもらいたいから。 最後にもう一言。 花組芝居の加納幸和さんは天才だぁ。 彼は演劇の醍醐味をよく知っているし、客層を考えた素晴らしい演出も盛り込み、 泉鏡花への敬意も忘れない。斬新、奇抜、客サービス・・・さすが、ネオかぶきだね。 -
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