雑踏で、愛を叫ばせる。自分は安全な場所に隠れて。「言ってみて。ねえ、早く」本当は聞いているこちらのほうが半ばうろたえてしまうけれど。「え?聞こえない。もういちど」淋しさに泣かせた罰として。耳に響くその声に安堵して、思わず緩んだ唇から小さく舌をのぞかせる。