Spilt Pieces
2008年03月24日(月) 
人って、強いと思う。
とても弱いけれど、強いと思う。
彼女が、少しずつ、前へ行こうとしている。
頑張るなんて言葉は使わない。
でも、声を聞くだけで、ああ強くなったなと思う。
ピリピリと、人を寄せ付けないという意味ではなく。
深くて、穏やかすぎるくらい。
そんな彼女が疲れたと言うとき。
それは、たぶん私に何か答えを求めているとき。
というよりむしろ、答えなどはとうに出ていて、
そのことの確認をしたくて話すのだろうと思う。
それくらい、強くなったと思う。
皮肉かもしれない。


彼は、彼女の幸せそうな顔を、いつだって遠くから見守るような人だった。
だから許してくれると思う。
むしろ、願っていると信じたい。
私は、できる限り邪魔をせずに、だけど求められればいつだって
背中を押す準備はできている。
彼女を、尊敬している。
幸せになってほしいと、こんなにもこんなにも思うだなんて。
自分でも驚くくらい。


「私も、私に幸せであってほしいと思うよ」
まるで他人事のようだった。
だけど…何でだろう、涙が出てきた。
この言葉をどれほど聞きたかっただろう。
誰よりも、幸せになってほしいとさえ。
どうしてだろう、そんなに頻繁に連絡を取っているわけではないのに。
私たちは、それがお互いにとっての最良の位置だと知っている。
多くを語らなくてもいいのだと思う。
言葉を重ねれば重ねるほど、彼女との静かな関係が、
まるで泡のように消えていってしまいそうだ。
喋らないことで分かり合える。
不思議な人。
それとも、私たちが?


水のようだと思った。
でも違う。
空気のようだと思った。
それも違う。
何だろう、例えば上空で風を感じないとして。
そんなとき、雨雲ではない、ふわふわした雲の中。
抱きしめられない。
でも、姿は確かにそこに。
その雲が、ずっとずっと澄んでいてくれるように。
そこからいつか降る雨が、たくさんの人…身近にいるたくさんの、
世界的に見れば宇宙的に見ればほんの小さな出会いの、
その当事者たちを少し温め少し潤し少し癒し少し育めたなら。


彼女が、笑う。
こんなに嬉しいとは思わなかった。
どうかどうか、幸せに。


小さな一歩に気づかぬフリを。
すっとぼけたメール、
きっと彼女は気づいていた。
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