Spilt Pieces
2002年12月10日(火)  雪
昨日、関東地方で初雪が降った。
関東圏でのニュースは、きっと日頃から雪が多く降る地方の人にとっては笑い話でしかないのかもしれない。


風邪をひいて外に出られない私にとって、雪は昨年までのそれと違って、迷惑というよりも観賞する対象だった。
車のタイヤがスタッドレスじゃないことに一旦焦りはしたものの、それ以前に体調不良で動けない身にとっては騒ぎようがない。
ぼんやりと、窓の外の雪景色を眺めるだけだった。
白い世界というよりも、遠い世界のような感覚。
手を伸ばしても届かないような雪景色を眺めていた。
私はあくまでも、眺めているだけだった。


雪のある風景は、色んなものを洗い流してくれるような気がして、包まれているとほっとする。
だけど、遠くから見る分にはその限りではない。
さらさらと軽く舞っているかのような雪は、集まったらきっと重くて、どこか山で誰かをさらっていってしまっているかもしれない。
私がしみじみと見ている間にも、玄関先でその重い雪を掻き分けながら額に汗滲ませている人もいるに違いない。
ふと、そんなことを思う。


雪と共にある風景、色々あるとは思うけれど、美しさだけに心寄せるだけではいけないような気もする今日この頃。
以前は、空から落ちてくる雪の白さと、その白さが見せてくれる空の高さに感動したりもしていたけれど、そして今もそういう感情が消えてしまったわけでもないのだけれど、何となく、以前より今の方が現実も見てしまっていて。
それが嬉しいのか悲しいのかと尋ねられれば、きっと私は悲しいのだと答えるのかもしれないけれど。
ただ、笑って涙して手を伸ばして、それだけではいけないのかもしれないということ、時に感じてしまう。



ごちゃごちゃうるさいことを考えていないで、素直に雪見て笑っていられたらいいのかもしれないな。
風邪のせいだということにしておこう。
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