2005年12月11日(日)  いいわけ 一、さようなら、好きな人。
 
―――それは彼女にとって、寝耳に水だったのか、それとも覚悟していたものなのか。
 
いつもの別れ話じゃないと彼女が気付いたのは、3度目の涙でも僕が優しい言葉を掛けなかったから。僕は彼女の流すあまりにも純粋で透明な涙にいつも屈して、不純な動機で彼女を苦しめていたことを悔やんだ。
 
「私は何も悪いことしてないのに!」
 
彼女のあまりにも純粋で透明で的確な言葉に、僕は返す言葉を失う。ただただ困ったような笑みを浮かべて、空虚な言葉を探し続ける。
 
「好きな人ができた」
 
別れ話を持ち掛けたのは、もう1ヶ月も前になる。
好きな人ができた。今思うと、それが何を意味するものなのか、深く考えることができない。深く考えようとすると、胸の奥で、瞳の底で、真っ黒に穢れた血が、涙が溢れてくる。
 
―――それは彼女にとって、寝耳に水だったのか、それとも覚悟していたものなのか。
 
彼女を失った今、僕はただただ悔やんでいる。自分の浅はかさに呆れている。己の運命を呪っている。
さようなら、好きな人。僕は再び一人になりました。
 

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