2005年05月07日(土)  朝からビクビクする理由。

毎朝、もしくは夜勤に入る夕方、病棟の扉を開ける時、僕の心拍数は上昇を続け、変な汗が背中を伝い、ひぃひぃ、ふぅ、ひぃひぃ、ふう、なんてラマーズ法のような呼吸をしながら、あぁ帰りたい。あぁおっかない。と小刻みに震えているのは、病棟に入った途端に、婦長さん、もしくは看護婦さんに「ちょっとヨシミ君、話があるんだけど」と、声を掛けられ、何かミスを、しかも重大なミスを犯したことを指摘されるのではないかとビクビク。
 
「お、おはようございます……」と、人の表情を覗くような弱々しい挨拶をして数十秒間は心臓が止まったような面持ち。誰かが僕に話し掛けてきて、重大なミスを指摘され、わーっ、すいませんすいません今度から気を付けます。ってことになるんではないか。なるんではないか! と、カッと目を開いても誰も僕のことを気にしている人はおらず、「おはよーさん、昨日飲み過ぎちゃったんじゃないの? まぶた腫れてるわよ」とか、「今日の昼ご飯また魚だってさ。やんなっちゃう」とか、「今夜空いてる? みんなで飲みに行くんだけど」なんてどうでもいいことを話し掛けてくる。
 
どうして僕はこんなにミスを恐れているのだろう。過去に出勤早々、重大なミスを指摘されたことが原因になっているのではないか。と、思案を巡らせても、そんな経験は一度もなく、じゃあなんで朝からそんなビビりキングみたいになっているんだと、再び問いてみても僕にはわからん。原因として考えられることは、職業柄、小さなミスでも患者の命に関わる重大な要因になることもあるので、過剰に心配してしまうということと、反省を全くしないということである。
 
それはどういうことかというと、僕は職場から一歩外に出ると、仕事のことをスッカリ忘れてしまうめでたい性質を持っていて、油断すると自分が看護師だということすら忘れてしまいそうな勢いで休日を過ごしているのであって、仕事が終わってから家に帰って、あぁ今日のあんなところはこんな風にすればいいな。とか、あそこを改善すればもっと円滑な業務が遂行できるなとか、いちいち反省をしない。反省も業務時間のうちに終了しており、課題が残っても家で考えればいいやとは考えずに、今度仕事来た時に考えればいいやと思っており、家では仕事の反省など全くしないシステムになっている僕自身が。
 
そういう風な性格だから、仕事の日、ロッカーで白衣に着替えながら、前回の仕事の時に考えた課題などを思い出し、あぁ、今日はあそこをちょっと改善してみようなんていきなり仕事モードに入ってしまうものだから、白衣を着る前と着た後のギャップが激しすぎて心が悲鳴。それに付随して体が反応。心拍数が上昇し、発汗多量。悲しいから涙が出るのではなく、涙が出るから悲しいというメカニズムと一緒で、どうしていきなり心臓がドキドキしてんだ。なんでこんなに汗が出てんだよ。もしかして、もしかして、僕ってば前回の仕事で何か重大なミスを犯したっぽい? 病棟入った途端に婦長さんから怒鳴られる予感? なんてバカ思考。そんなこんなで朝からビクビク。
 

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