2004年11月14日(日)  二十四の焼き栗。
 
高松からフェリーに乗り、瀬戸内海で淡路島の次に大きな島である小豆島に行った。彼女が「二十四の瞳映画村」を案内してくれるという。案内してくれるのはいいのだが僕は「二十四の瞳」を読んだことがなくて、いつか読もういつか読もうとは思っていた作品なのだが、今更二十四の瞳なんてという思いもあり、とうとう読まないまま小豆島に来てしまい、僕は何しに来たのだろう。きっとオリーブ園に来たのだろう。香川県の県花みたいだし。
 
ということで「小豆島オリーブ園」にも行ったのだが、園内に栽培されている約2000本のオリーブ全てオリーブ臭く、お世辞にも良い匂いとはいえない。よってその旨を彼女に伝えたら「連れて来るんじゃなかった」と残念な顔をして残念なことを言い出すのでここじゃなかった。僕はここに来たいのではなかった。瀬戸内海国立公園である「寒霞渓」に行ってロープウェイに乗りたかったのだ。ロープウェイに乗って山頂より谷あいを望みながら紅葉を眺めたかったのだ。
 
と、「寒霞渓」に行ったのだが、ロープウェイはたいした絶叫マシーンでもないのにディズニーランドのスペースマウンテン以上に行列ができている。ロープウェイよりも行列に絶叫した僕は、ロープウェイなんていいや。往復1250円もかかるし。山頂まで車で行けるんだから車で行こうぜ。ロープウェイなんて綱一本でトロトロ走る乗り物よりタイヤが四つもついてる青い日産マーチで山頂に行こうぜ。と、山頂まで車で走り、観光客に声を掛け、二人の写真を撮ってもらった。彼女は山頂で買った焼き栗の袋をずっと握り締めていて子供みたいだった。
 
その後、「小豆島ふるさと村」という場所で、肌寒い季節なのに小豆島の名物らしい手延べそうめんを食べて海辺を歩いて、愛を語って、愛を語っているのは僕ばかりで、彼女は僕を離したくないと思っているのではなく、焼き栗を離したくないと思っているらしく、ずっと握り締めていて子供みたいだった。
 
せっかくだから「二十四の瞳映画村」で文庫本を購入して、その日の宿であるカプセルホテルで読み始めたのだけど、これがまた面白く、どうして僕はこんなに素晴らしい文学作品を今まで読んでなかったんだと後悔しながら、作家の壺井栄独特であろう人間味豊かな表現に終始笑顔が絶えず、文字を追うたびに今日行った小豆島の風景が目に浮かび、もう一度行ってみたいなぁ。今度香川来たとき彼女をもう一度誘ってみようかなぁ。優しい彼女はきっと了承してくれるに違いない。焼き栗買ってあげるからと言ってみれば。
 

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