2004年10月27日(水)  無産階級アルバイト。
 
何の因果か、看護師としての仕事の傍ら、とあるレストランで勤務することが決まり、白衣を脱いで蝶ネクタイを締めて一皿何千円もするようなフランス料理を口元に小さな笑みを浮かべながら運んだり、ワインを注いだり、本日の前菜のメニューの説明をしたりしている。嘘のような本当の話。何の因果か僕はこうやってレストランでウェイターをやることになった。
 
別に日々の暮らしが苦しくてバイトを始めたわけではなく、いや苦しいわけじゃないけど楽でもないわけで、お金はないよりあった方がいいんだろうけど、このバイトは決してお金の為ではなく、頼まれたからやっているのであって、僕は学生の頃、とあるホテルのレストランでアルバイトをしていたのであり、昔取った杵柄。ちょいと頑張ってみようかな。人が少なくて困ってるみたいだし。と、ボランティア精神をふんだんに駆使して本日の前菜は人参のムース、サーモン添えで御座いますなんて気取った口調で言っているので御座います食ったこともないくせに。
 
本日も、というか昨日鹿児島から帰ってきたばかりだというのに、朝から仕事に行って、仕事が終わったらナースステーションで歯を磨いて髪の毛を整えて大都会のブルジョアジーたちに1本何千円何万円もするようなワインを運ぶプロレタリアートな僕はこのバイトの時給がどのくらいかさえ知らない。なんで知らないのかというと、聞くタイミングみたいなものを失ってしまったからであって、今更マネージャーに「すいません。シャトー・クレール・ミロンを1つ。それと僕の時給は一体いくらですか」と言うわけにもいかず、これは一種のボランティアであって、その本質ももしやボランティア、無償の労働なのではないかとひやひやしながらフランス料理を運ぶ毎日。
 

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