2004年09月20日(月)  明日お礼言うからね。
 
電車で数駅も過ぎれば、そこは混沌をきわめた大都会東京の繁華街に着くのだけれど、僕が住んでいる町はとても穏やかな空気が流れていると思うのです。
 
近所に酒屋があって、その酒屋の店前には店主の趣味と思われる数々のガーデニングが広がっていて、草花や盆栽はもちろん、野菜なども作っているらしく、いつも店の前を通る時にその色鮮やかな花や野菜で目を楽しませてくれて、ちょっと帰りにビールでも買って帰ろうかなと、そんな気にさせてくれるのです。
 
酒屋は夜10時に閉店します。僕は彼女を東京駅まで送った後、とぼとぼと家に帰っている時、その酒屋の前に1人のお婆ちゃんが立っていました。
 
「ゴメンなさいね。明日お礼言うからね。明日お礼言うからね」
 
お婆ちゃんは独り言を呟きながらガーデニングの枝豆を摘んでいたのです。この酒屋は老夫婦で営んでいるのですが、おそらくこのお婆ちゃんと老夫婦は古い付き合いなのでしょう。
 
明日お礼言うからね。隣の部屋にどういう人が住んでいるのかすらわからない僕の日常に、この人間味溢れた言葉は、部屋に帰ってからも僕の胸の中で繰り返されるのでした。
 

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