2004年08月09日(月)  助けて下さい!
 
「泣きながら、一気に読みました」とあの帯に書いていたようなことを言うような奴は、オグ マンディーノの「十二番目の天使」をやはり泣きながら読むような奴で、涙に涙するというか、恋をしても恋に恋をするというか、そういう種類の人間で、僕はそういう人達と仲良くなることはできないし、そういう作品を評価しようとも思わない。
 
『世界の中心で愛を叫ぶ』
 
彼女と映画館の行列に並んでいた。彼女が一緒に見ましょうと言ったから、あまり乗り気ではなかったけど、彼女が言うのならばエニシングオッケー。二つ返事で首を振る。そして僕は行列に並んでいた。
 
この作品、上映してから結構経っているというのに、なぜこんなにも人が多いのだ。この前見た「トロイ」なんて映画は、平日だったという理由もあるだろうけど、6人くらいしか見てなかったというのに。皆「泣きながら一気に読みました」ってタイプなんだろうか。気が滅入る。キミもあの作品を泣きながら一気に読んだのか。
 
「私、あの本は嫌いよ。嫌いじゃないけど、好きでもない」
「じゃあ何で映画見ようって言いだすんだ。僕は『誰も知らない』が見たいんだよ」
「本は駄目だけどね、ドラマが好きなの。えとね、ドラマの内容はね……」
 
と、行列の真ん中でドラマの内容を話し出したので、半分だけ聞いて半分は僕の前に立っている女の子のTシャツから透けるブルーのブラジャーを眺めていて、やがてそれも飽きたので、「そうそう、この映画って最後宇宙人に殺されちゃうんでしょ」「アキってヒロインが核爆弾のボタン押しちゃうんだよな」「たしか痔で入院してるんだよね」と、泣きながら一気に読んだ人達に聞こえるような声でデタラメなことを話し出したら、彼女の表情がわかりやすいくらいに変化して、それから僕と話してくれなくなった。
 
さて、映画の内容。原作と若干内容が違うが、起承転結の「転」が抜けているようなストーリーは概ね同じ。最初からエンディングみたいな。そして合計4回、上映中に彼女からハンカチを借りた。僕はすぐ泣く。物語の展開ではなく、その一場面一場面で涙を流す。最後のエンディングロールでも涙を流す。歌しか流れてないのに。彼女は席を立ち帰る準備をしているというのに、僕の涙は止まらない。泣きながら心の中で「助けて下さい!」と叫んでいた。
 

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