![]()
| 2004年03月19日(金) ボクの臭いキミの匂い。 |
| 今年の春から新生活を始める人も多いと思いますが、新生活といえば独り暮らしでございます。憧れの独居生活の幕が開かれるのでございます。憧れの。いろんな想像を駆り立てて。いろんな雑誌を参考にしつつ。あぁこのソファー欲しい、このベッドいいね、間接照明お洒落だね。ここに小さなテーブル置いてあの棚にはアジアンな雑貨並べてキッチンにはお洒落なお酒並べちゃったりして。彼女呼んでベッドでムフフ。目覚めのコーヒー飲んでアハハ。想像するだけで笑いが止まりません。独り暮らしって素晴らしい。 しかし憧れの新生活。憧れてばっかりもいられません。月々の電話代に水道光熱費。新聞とか宗教の勧誘うざい。ポストには淫猥なチラシばかり投げ込まれ精神衛生上よくない。お洒落なソファーの上に積もった洗濯物。滅多に洗わないシーツにくるまれたベッド。溜まる空き缶、空き瓶。捨てたいけれどゴミを出す日がわからない。コーヒーメーカー買ったはいいけど、なんだか面倒臭いし、朝から悠長にコーヒー煎れてる暇なんてないからインスタントで済ませちゃう。ユニットバス不便。トイレと風呂を仕切るビニールカーテンにカビが生えてシャワーを浴びるたびに気が滅入る。流行りの柄のカーペットにはいやらしい体毛ばかり絡まる。今度の給料でスタンドライト買いたいけれど車のローンの支払いあるし。 そしてようやく気付くのです。あ、なんか違う。って。独り暮らしの理想と現実。往々にして現実はシビアです。でも大丈夫。人間にとって、夢や希望は生きる原動力となるのですから。初めて手に入れた自分だけの空間。誰からも邪魔されず、介入されず。介入されないから掃除をする人だっていないんだけど、洗濯物だってゴミだって溜まるんだけど僕だけの世界。6畳1間のワンルームだって、洗濯機置き場がなくたって、設置してあるエアコンが骨董品のような代物だったって、部屋干しした洗濯物がちょっと臭ったって、ここは僕だけの世界。僕の価値観がセンスがそのまま反映される大きなキャンバス。アジアンな雑貨の横にヨーロピアンな花瓶があってその後ろにジャパネスクな掛け軸があっても大丈夫。人生は金だけが全てじゃないんだから家賃の振り込みだって少々遅れても大丈夫。いや、これはよくない。僕は2週間家賃の振り込みが遅れただけで大家が実家にまで電話しました。現実はシビアです。 しかし殺風景になりがちなワンルームの部屋にも、時に大きな花が咲きます。そう。彼女が遊びに来るのです。部屋中に染みついたニコチンやアルコール臭を、彼女の香水がシャンプーの香りが中和してくれるのです。まさに人生の芳香剤。僕が塩酸のような臭いを発してもキミが水酸化ナトリウムの役割をするのです。 綺麗好きな彼女は部屋に入った瞬間、愛の言葉よりも先にホウキを取り出し掃除を始めます。僕のような横着な性格の彼女はテーブルに置いてあるカップラーメンの空容器の中に、更にスナック菓子の袋を投げ込みます。几帳面な彼女と横着な彼女。独り暮らしはどちらのタイプの彼女を持つかによって大きく違いが出てきます。 室内の掃除では飽きたらない彼女は食器類をキッチンハイターに浸けるし洗面所を歯ブラシで磨くでしょう。ポテトチップスを食べて手についたコンソメや塩を服の裾で拭くような彼女はテレビのリモコンを足の指ではさんで取るでしょう。でもそんな彼女がいるから、来てくれるから、笑顔を見たいからインテリアも凝りたいし、自分の部屋を彩ろうと努力するのです。そう、全ては愛から始まるのです! 愛がない独り暮らしなんて納豆の臭いのするアロマキャンドルのようなものです。よく意味がわからないけど僕の部屋はなぜか納豆の臭いがします。これは愛に飢えた体臭なのかベランダに積まれたゴミ袋から漂う臭いなのか! |
| 翌日 / 目次 / 先日 |