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| 2004年03月18日(木) じっと手を見る。 |
| 働けど働けど我が暮らし楽にならざり。じっと手を見る。という具合に石川啄木よろしくぼんやりと指先を見つめていたら、爪が伸びている。おぉ、爪が伸びているよ。と感動し、パソコンのディスプレイの下の奥の方にあった爪きりを定規で持って手繰り寄せ、爪を切ったのであるが、爪。僕は爪切りというものは滅多に使用しない。じゃあキミの爪は伸びないのかと訊ねられれば僕はフッと笑ってお腹が空いたら雲を食べるように、爪が伸びたら噛むのです。と答える。 爪を噛むという悪癖。この癖は衛生上も芳しくなく、看護師という職業の性質上、清潔という概念に拘わる必要があり、爪を綺麗に揃え、パンツも毎日履き替え、ストッキングは白という金字塔。僕はこの金字塔という表現を上手く使用することができない。だけどそういう言葉をどうしても使用したいときがあって、こうやって無理矢理使ったりするのだが、文章は荒唐無稽を極め、精神は荒廃し、洗濯物の取り入れを忘れた日に雨が降り、僕が座った電車の座席の下に空き缶が置いてある。 さて、金字塔。いったいこりゃどういう意味だ。使いこなせたら格好いいんだろうなぁ。んで、爪。僕は過度の緊張に見舞われると爪をカリカリ噛んで、噛む爪がなくなると靴下を脱ぎ足の爪の添削作業に取り掛かるというのは嘘で、手の爪ばかり噛んでいるんだけど、最近爪が伸びているということは、過度の緊張状態に襲われる回数が減っているということで、これはまことに良いことである。と、彼女に感謝。彼女が僕の心の平静を保ってくれてるんだきっと。 「もう! また散らかってる!」 と、僕の部屋に来る度に、9歳年下の女性は呟くのだけど、「僕はキミを愛しているので、部屋が汚くてもなんとも思わない。むしろ掃除する気すら起こらない。よって、キミが掃除してくれれば助かる」と申すと、彼女は一通りの文句を言って、可愛い唇を尖らせながら部屋の清掃作業に取り掛かるのであって、そんな彼女の後ろ姿を見ていると、爪を噛むなんてことすら忘れて、鼻の下を伸ばして、彼女がしゃがんだ折、ジーパンの腰の部分から露呈するパンティーの色に欲情し、ベッドの中に潜り込み、彼女の掃除が終わるのを待っている。 |
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