2004年03月05日(金)  白い視線。
 
というわけで池袋駅東口で加藤という人物に話し掛けられて、加藤は人間違いとわかった瞬間逃げるようにパルコの方向へ走り去って行ったので再び一人残された僕は腹が減るまでとりあえず喫茶店でコーヒーでも飲もうと、東口から5分ほど歩いた場所にあるカフェへ入った。
 
「いらっしゃいませ」という挨拶が聞こえたと同時に店内を見渡す。店内の値踏みってやつね。雰囲気はどうか。客層はどうか。ちゃんとテーブルは拭いてあるかってね。で、ふと気付いたのだが、店内に女性客しかいない。店員まで女性で、会計に並んでいる客まで皆女性だ。なんだこら。もしかして女性専用喫茶店。今風で申すとレディースカフェ? そんな言葉あるの? だけどバスや電車で女性専用車両が誕生するご時世だし、パチンコだって女性専用の場所があるし、サンシャイン通りのゲーセンの4階か5階は女性専用ルームだしね。レディースカフェってのもありえるなぁ。
 
しかしここが本当にレディースカフェだったら恥ずかしいなぁ。のうのうと店内に入ってきた僕を店員ならびに客は白い目で見てるんだろうなぁ。と携帯。携帯プルル! 携帯プルルと鳴った振り! おっとっとっとと取った振り! 受話器の向こうの人物と話す振りして一旦店外へ! 阿呆のような演技をしつつ、看板もしくは自動ドアなどを何気に観察する。女性専用ならどこかに大きく、誰でもわかるように「女性専用」もしくは「レディースカフェ」などと書いているはずだ。僕は何も考えないでここに入ったのできっとその注意書きに気付かなかったんだ。きっとそうだ。
 
と要観察。携帯片手の演技も忘れずに。「あっ、そうですか。いや、いまちょっと喫茶店入ろうかなぁって。あ、いやいや、申訳ないです。あ、それは大丈夫です」なんて誰も聞いちゃいない孤独の演技。しかしこの店、どこにも「女性専用」という類の文句は謳っていない。じゃあ何だ。なんだこら。入っていいのか。僕も入っていい資格があるってことか。と、再び店内へ。
 
あぁやっぱり女ばっかだ。甲高い声しか聞えない。一人で読書に耽る女性。爪楊枝のような煙草をふかす女性。数人で互いの悩みを言合いっこ。励まし合いっこ。無責任の極致の会話。顔を寄せ、ひそひそ会話する女二人。もしかして、もしかしてここはレズビアンのハッテン場なのかもしれない。なんか暗黙のルールみたいなやつがあって、それを僕だけが知らないのかもしれない。あぁ、あの男、レズカフェに入っていったよ。馬鹿だなぁ。と店外でも白い目で見られていたのかもしれない。店内でも店外でも白い目。孤独。本当の孤独。
 
「ホ、ホットコーヒーを一つ」
「ご注文は以上で宜しいでしょうか」
「あ、あと、チ、チーズケーキ」
 
心は女性なんだと意味のわからぬ抵抗。
 

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