2004年01月27日(火)  ずっと一緒にいよう。
 
いずれ確実に訪れるであろうその痛みに耐えられるだろうか。まだ始まったばかりだけど、同時に明確な終焉さえもが見えている恋。無慈悲に過ぎていく時間。キミの笑顔。その裏に隠された葛藤。言えない言葉。焦る僕。涙を流すキミ。
 
この恋は、キミの涙から始まった。道化の中に巧妙に真実を織り交ぜる僕のやり方に、キミは戸惑い、警戒した。言いたい言葉も言えず、ただ力無く笑い、ベッドの中で涙していた。僕はキミが涙していることさえ気付かず、毎晩、無自覚な罪を犯し続けていた。
 
言葉を大切にするキミは、沈黙の繋ぎでしか存在しない僕の口から発せられる様々な言葉を否定した。「好き」だということに照れてしまい、いつまで経っても言えないのなら、僕は冗談を交えて「好き」だということを連呼するだろう。「愛している」と言うことに躊躇するのなら、僕は様々な比喩を使って迂遠な告白を繰り返すだろう。
 
キミはその数々の無責任な言葉を、我が身に針を刺すように受け止め続け、キミの身体から血が流れているのさえ気付かず、遂にキミは僕の視界から消えてしまった。その小さな顔を塞いだ両腕の隙間からキミの嗚咽が漏れる。僕はどうしたらいいのかわからず、いつもの道化さえ何の役にも立たず、「顔をあげてよ」と子供のように同じ言葉を繰り返す。
 
「多分、あなたには解決できない」
 
あの夜、彼女はそう言って僕との間に壁を作った。彼女が抱える大きな悩み。その内容を聞かされるまでもなく、解決できないと突き放された僕。視線を外すキミ。その視線を追う僕。僕はキミへの詮索を諦め、キミの見えない場所から、僕との間に隔てられた壁を壊すことを試みる。その壁を崩せば崩す程、なぜか僕自身が痛みを感じる。
 
「あなたには解決できない理由は、あなたのことで悩んでいるから」
 
そして僕たちの恋は始まった。手を繋ぐ時間も唇を合わせる回数も限られている恋。
 
ずっと一緒にいようなんて言葉は、僕たちの口から発せられることはないけれど、ずっと一緒にいよう。これからずっと一緒にいよう。
 

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