2003年12月25日(木)  終焉後のクリスマス。
 
休日の朝、大きな荷物が届いた。
 
大きな紙袋には、クリスマスプレゼントと短い手紙が入っていた。
 
彼女と買い物に行ったとき、バッグが欲しかった僕はいろんな店に入り、バッグを探し続けた。だけどこれと思ったものは彼女は首を傾げ、彼女がこれと思ったものは僕が首を傾げた。
 
「私たちって趣味が合わないのね」
 
彼女は悲しそうに笑った。だけど趣味が合わないということは、恋愛に関してはそれほど致命的にはならない。僕たちはその数日後、同じものを同じように感動できないまま、共感できないまま、その構築の過程の中で、別れた。
 
数週間後、クリスマスイブが訪れた。僕は別れた彼女に郵送でプレゼントを贈り、仕事帰りに駅前のケーキ屋に寄って、小さなショートケーキ1つでは恥ずかしいので、2つ買って、隣の部屋の子と一緒に食べた。
 
隣の部屋の子は彼氏がいるのかいないのかわからないけど、ただこの時間を乗り切る為に、やり過ごす為に、僕たちはケーキを食べて、無意味なバラエティ番組を見ながら無機質な笑い声を挙げた。
 
そして今日の朝、大きな荷物が届いた。
 
荷物の中身は、彼女からのクリスマスプレゼント。中身は、ワインレッドのバッグ。派手過ぎず、地味過ぎず、丁度いい大きさで、何よりも、僕の趣味に合っていた。
 
「私たちって趣味が合わないのね」
 
あの日の彼女の悲しい呟きを思い出す。このバッグは、今の僕に挑戦するような、悲しい輝きを持っていた。そのプレゼントを何度も撫で、何度も肩に掛ける。
 
短い手紙には、短くて悲しいメッセージが記されていた。
そしてバッグの他に、僕たちが付き合っていた頃の、会話の断片が形になったプレゼントが入っていた。
 
例えば、僕が古くて格好悪いデザインの名刺入れを、これしか持ってないからという理由でいつまでも使っていたということ。文庫本のカバーが欲しいと言い出し、散々探した挙げ句、やっぱりいらないと言ったこと。
 
会話の断片は、新しい名刺ケースとなり、新しい文庫本カバーになり、全てを失ってから、僕の目の前に現れた。
 
終焉後のクリスマス。僕たちはお互いの帳尻を必死に合わせるように、哀しい思いに支配されながら、無言のプレゼント交換をした。
 

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