2003年08月09日(土)  都合主義的短期記憶。
薄暗い部屋で社会保障という糞つまらないものを勉強していると「民間保険の現状と課題」という項が目について、しばらく読み耽っていたら、いくら頑張って理解しようとしても、ちっとも頭の中で論理が構築していく音が聞こえてこないので、論理の土台さえ完成しないまま諦めてしまった。
 
例えばね、中央法規出版の「社会保障論」245ページの図7−6『個人保険種類別新契約件数構成比の推移』 長いっつの。結局何の推移かわからないっつの。「個人保険種類別」うん。理解できる。「新契約件数」うん。わかる。「構成比の」う、ん。構成比ね。「推移」えー。ちょっと待ってわかんなくなってきた。たしか「構成比の推移」だったよね。何の構成比の推移だったっけ? そうそう「新契約件数」のだったね。何の新契約件数だったっけ? そうそう「個人保険種類別」だったよね。で、で、個人保険種類別の何のことだったかな? そうそう「新契約件数」だったよね。で、それがどうしたんだっけ? と、全然先に進めない。
 
人間の短期記憶には「7±2」というルールがあって、短期に記憶される単語の数は5〜9個しか覚えられないという。ネコ、ヒコウキ、アメ、ビル、バス、キリン、ペン、ニク、トケイ。はい覚えてくださーい。はい答えて下さーい。と言われて全て答えられる人は少ない。前の職場で行っていた心理テスト「長谷川式簡易能力評価スケール」の中にも、ボールペン、時計、お金、鍵、マッチという相互に関係のない物品を覚えてもらって、それを箱に隠してクライアントに答えてもらうというものがある。これは高齢者の短期記憶を調べる質問で、覚えてもらう物品は相互に関係のないものでないといけない。
 
例えば、ウミ、カメ、タイ、ヒラメ、ハコ、ヒメ。相互に関連性を見出せば記憶も容易になる。この場合、相互を結びつけるキーワードは浦島太郎になる。ほら、覚えられるでしょ。このような相互に関連を見出して合理的に記憶する方法をなんとかと言ったが忘れてしまった。僕は長期記憶について多少問題があります。昔の彼女の顔は思いだせるけど名前が出てこなかったり、その逆だったり、付き合ったことない人に馴れ馴れしく話し掛けてしまったり。
 
「温泉行きたいね」
「この前行ったじゃん」
「行ってないわよ」
「5年前だよ」
 
もう誰と何処に行ったのか、そこに行って何をしたのかちっとも思いだせない。長期記憶はあるインパクトによって記憶される。いわゆる記憶の核のようなもので、その核が頭の中にいつまでも残っていたら、それだけで記憶を膨らませることができる。僕にはその核が少ないような気がする。ドライブ中、ズボンの上にコーヒーをこぼされて一日中ムカついてたとか、トイレのドアを開けたら彼女が鼻をほじっていたとか、そういうどうでもいい核ばかり残っている。僕の記憶はいつまで経っても美化されずに実にリアルな混沌が渦巻いている。

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