2003年07月11日(金)  なんともいえない空気。
「ねぇ、これ幾らすると思う?」
 
でた。でたよイクラちゃん。幾らすると思う? いろいろ辛い事が多い人生の中で最も辛い質問。幾らすると思う?
 
まず、まず第一に、質問を投げ掛けた側。彼女は薬指のリングを僕に向かってかざしている。自分の給料で買ったのだろう。結構なことだ。さて、彼女はこのリングは幾らしたのかと僕に問い掛けている。野暮な質問です。知るか。しかし答えなければ「アナタってどうして周囲のことに無関心なのよ!」と罵倒されるのでここはどうしても答えなければいけない。妥当な値段を提示しなければいけない。
 
と、これが問題。まず、この指輪高かったのよ! と彼女が序言を付随した場合、高い指輪とは幾らから高いのであろうか彼女のリングに対する相場の物差しでは。5万円。5万円だね。高かったのね。5万円もしたのね。結構なことです。うん5万円!
 
「……3万円よ」
 
ほらね! ほーらねー! しくじった! 2万円とか提示しとけばよかった! だけど2万円のリングが高いと思う僕のクオリティとかマイノリティとかそういうものが卑下されそうで、高いんだったら5万円。ね、5万円高いでしょ。なかなか指輪如きに5万円なんて払えないでしょ。だから5万円って言ったのに3万円だってさ。せっかく貯金とかして買ったのに僕が5万円と言ったばかりに彼女の表情には差額2万円の無念感が漂う。
 
と、これが問題。まず、この指輪安かったのよ! と彼女が序言を付随した場合、安い指輪とは幾らから安いのであろうか彼女のリングに対する相場の物差しでは。2千円。2千円だね。安かったのね。2千円なんだー。へぇー。結構なことです。うん2千円!
 
「……3千円よ」
 
ほらね! ほーらねー! しくじった! 5千円とか提示しとけばよかった! だけど5千円のリングが安いと思う僕のクオリティとかマイノリティとかそういうものが卑下されそうで、安いんだったら2千円。ね、2千円安いでしょ。なかなか指輪って2千円じゃ売ってないでしょ池袋パルコで。だから2千円って言ったのに3千円だってさ。せっかく掘り出し物を発掘した感覚で意気揚揚と購入したのに僕が2千円と言ったばかりに彼女の表情には差額千円の無念感が漂う。
 
この類の質問は本当に人の気持ちを理解できる人は投げ掛けないと思う。思わぬ難題に頭を悩まし、相手を傷付けないように慎重に値段を提示したにも関わらず相手の意に沿わない結果になってしまった場合の何ともいえない空気。
 
お互い空気を読みながら生きていきましょうね。

-->
翌日 / 目次 / 先日