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| 2003年06月13日(金) 花唄。 |
| 現在午後11時20分。受話器を肩と左耳に挟んで顔を左45度に傾けてこの日記を書いてます。受話器の相手はコンポから流れる曲に合わせてずっと歌を唄ってます。なかなか上手。歌詞がわからないところはフフンフフフーンとか言って誤魔化しているけど、上手。彼女はとても優しい歌声をしていて、唄ってるときは話し掛けても返事さえしてくれない。間奏の間に「この曲は私が22歳の時に流行った曲なの」など言ってすぐ歌い出だす。1曲終わった度に「ねぇ、何やってるの?」と話し掛けてくる。何をやってるも何もキミの歌を聴いているわけで、それ以外に特にすることがないから、そうだ、日記書いてないよ。日記書いてないよ。何か書くことない? 「エッチのこと書いて」と言われたけど、さすがにエッチなことは書けないので仕方なく顔を傾けたまま時々受話器を外して首をぐるりと回して、今この状況を日記に綴っているのです。 「あ、そういえばこの前テレビにオレンジペコー出てたよ。初めて見たよ。ねぇ見たことある?」 「ないよ」 と一言。一言返答しただけで歌の続きを歌い始める。会話にならない。時々英語の歌詞の意味を訊ねてくるが僕は英語はまったくわからないので説明できない。午後11時30分。今日も彼女の声を聞いて、明日も彼女の声を聞く。彼女は今日も明日も受話器の向こうで歌い続ける。 「シェリルクロウ知ってる?」 「いや知らない」 「知ってるわよきっと」 と一言。一言知ってるわよと。知らないと申しているのに知ってるわよと。今夜はすごく蒸し暑い。紫陽花の花、あれは花じゃなくて額の部分です。皆さんが花だと思ってる部分はあれは額の部分なんです。紫陽花の花というのは額の中心にある直径7ミリ程度の部分なんです。と今日の夕方のニュースで気象予報士が実に堂々とした口調で言っていたがだからどうしたんだと。いいじゃないかあの部分が花で。額とかそんなこと聞いてないよ。いいじゃん花で。充分綺麗じゃん。ね、そうだと思うでしょ? 「そうね」一言! 僕も夕方の気象予報士のように実に堂々とした口調で教えてやったというのに「ていうか知ってるよ」と。挙句の果てには、 「アナタ私に全然興味ないでしょ」と言われる始末。午後11時40分。顔を左45度に傾けて20分で書き上げた今日の日記。彼女はこの後もずっと歌い続ける。 |
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