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| 2003年04月26日(土) 6畳1間で書く最後の手紙。 |
| キミの言う通りだと思う。僕たちは出逢う日が遅過ぎた。もう少し早く出逢っていれば、もっと違う道を歩んでいたのかもしれない。例えば僕は仕事を辞めない。キミも仕事を辞めない。時々食事をしながらお互い仕事の愚痴を言い合うんだ。「あんな仕事辞めてやる!」と僕が叫ぶと「まぁまぁ、落ち着いて」とキミはなだめて、「もうやってらんない!」とキミが嘆くと「今にきっといいことあるよ」と僕が慰める。 キミと出逢った頃、僕がもう、こうやって、部屋の荷物をダンボールに詰め込むことは、ある程度予想されていて、まだ誰にも言わなかったけど、僕の決意も固まっていて、辞職の機会をこっそりと窺っている頃で、誰にも相談できぬ孤独とばかり闘っていて、時には自棄になって、酒を飲んでよからぬことをしたり、よからぬ怪我をしたり、よからぬ後始末に追われたりして、夢と希望と自嘲と堕落。なにがなにだかわからなくなって夜眠れなくなり、天井を見上げて、真っ暗な部屋で涙が出ているのかそうでないのか、ぼんやりした視界と意識の中で、妥協か断行か。独り葛藤していて、答えは決まっているのだけど、葛藤している振りをして、不幸に見舞われている振りをして、事実、自分で蒔いた種なんだから葛藤も不幸もないんだけど、昔から僕は安定を欲しているのに、変化を求めるという矛盾した体質を持っていて、今回はそれが謙著に現れて、よし上京! と。意味もなく上京! と。不幸と悲しみの舞台設定を自作自演でせっせと拵えて、自ら創り上げた沼の中に身を投じて、ぐるじいよ。と。 これは僕の体質なんだ。玉子アレルギーとか花粉症と同じ。治しようがない。今回の上京の目的は、現在通っている通信大学の卒業と同時に認定心理士を所得、精神保健福祉士の国家試験を受験する。国家試験は所詮国家の試験だから合格するに決まっている。よくわからんけど、合格するに決まってる。で、それから、大学院を受験して、入試に落ちたらおしまい。帰ってきます。都落ちってやつね。格好悪いじゃないか。潔く格好悪いじゃないか。再び我が病院の門を叩く。ごめんください。働かせて下さい。ってね。潔く格好悪い。そうならない為にも僕は夜遅くまで机に向かいて机上の空想。 もう少し、早く出逢っていれば、きっと楽しい時間が過ごせたと思う。一生会えないわけじゃないし、僕だって夏くらいに帰ってくる予定だから、そのときは、また、あの一貫性がないカフェで、美的センスのないキャラメルマキアートを飲みながら、手作りのイチゴジャムが乗ったアイスを頬張りながら、ずっと話をしよう。手紙と、プレゼントありがとう。ずっと大切にするよ。明日の朝、ここを発ちます。風邪など、ひかぬように。自分を決して見失わぬように。 |
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