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| 2003年04月27日(日) クロネコとしまむらと安楽ビルと今夜の下着。 |
| 引越しました。晴れて僕も埼玉県民です。布団を持ってない埼玉県民です。引越したはいいが、何もない。あるにはある。バッグの中の煙草と小説。意味がない。生活できない。とりあえず外へ出る。部屋の中にいたって気が滅入るだけだ。徒歩5分。ファッションセンターしまむら発見! 大歓喜。意気揚揚と店内へ。布団3点セット3980円。埼玉も半額セールなのか。あれは、いけない。早く値上げしてほしい。鹿児島で5000円で購入した僕の気が滅入ってしまう。世の中は僕の知らぬ間に布団3点デフレでも起こっているのか。 部屋へ戻る。やはり何もない。布団、その他もろもろの荷物は明日届く。部屋から夕陽が見える。涙を誘う。布団もないが、コンビニもない。今夜食う飯がない。クロネコヤマトから電話。 「お引越し、今日が搬送のご予定ですが」 馬鹿だ。日程を間違えてやがる。予定では明日28日になっていたはずだ。しかし、願ったり叶ったり。今夜寝る布団がない。クロネコの勘違いな従業員のお陰で布団、その他今夜の下着、タオル、洗面用具諸々が今日届く。馬鹿に感謝。勘違い万歳。荷物が全て届いてから言ってやるのだ。「予定では搬送は明日になっていたはずですけど……」「えっ、そうなんですか。ちょっと調べてみます……ああっ、ホントだ!」ってね。僕も鬼ではないので、他人の間違いを指摘し、修正してやるのだ。 「それでは今からお伺いしますね」 と電話が切れる。早く来ればいいのに。携帯をポケットに入れ、しばし周囲を探索。やはりコンビニはない。この辺りの住民は夜中に突然冷凍うどんが食べたくなったらどのように対処しているというのだ。不毛な町です。タバコの自販機はどこなの! どこにあんの! みんな禁煙してんの! 嫌煙化の町? どこ? どこどこ? あぁ、あったあった。タバコの自販機如きで取り乱してしまった。クロネコ、早く来ればいいのに。と電話。 「アパートに到着しましたが、えっと、202号室ですよね……」 「いや、302号室なんですけど」 「えっ、あっ、そうなんですか。302号室? わかりました。探してみます」 なにが探してみますだ。階段登ればいい話だろうが。202号室は2階。302号室は3階。世の中は結構わかりやすくできているんだね。階段を、登ったらいいよ。まず右足を出して1段上がって、次に左足を上げてもう1段上がるという具合に進むんです階段というものは。待ちくたびれました。僕が迎えにいきます。と、2階へ降りる。誰もいない。怪訝そうに僕を見つめるミニスカートのお姉ちゃんしかいない。怪訝そうに、見るな。クロネコじゃないくせに僕を見るな。パイプベッド運ばせるぞこの野郎。と、クロネコからまたもや電話。 「すいません。302号室ってどこですか?」 「どこって、そこの3階のはずだけど……」 「ここってどこですか?」 「はぁ?」 クロネコはもしかして、地理を間違えているのかもしれない。ここってどこですかなどという不毛な質問までされてしまった。僕に聞くなよ。手前で考えろよ。でも、ほら、僕は鬼ではないので、懇切丁寧に説明を始めるわけであります。 「埼玉県川越市……」 「えっ!?」 「だから埼玉け……」 「えええっ!?」 「えええっ!?って今どこにいるんですか」 「えっと、鹿児島……」 「はぁ?」 「安楽ビル202号室の前にいます」 馬鹿だ。このような事態に陥ってしまった意味がわからない。安楽ビル202号。これは僕が昨日まで住んでいた鹿児島のアパートじゃないか。そのドアを開けたって、面倒臭いから捨てようともしなかった柄の悪いカーペットがあるだけで、あとはもぬけの空だよ。 「申し訳ありません。もう埼玉にお引越しなさっていたのですね。こちらの連絡ミスでした。またあとで連絡します」 と電話が切れる。部屋を見渡す。やはり何もない。あるにはある。タバコと小説。意味がない。生活できない。クロネコの馬鹿が。舞い上がってしまったではないか。やることがないから、腹が出てきた。「ただいま。数ヶ月振りに故郷へ帰ってきました」「まぁおかえり仔豚ちゃん」とか言われてしまう。危機感を感じる。早く重い段ボールとか持って体を動かさなければ。とクロネコから電話。 「本当に申し訳ありません。日程を間違えておりました。それでは30日にお伺いします」 馬鹿だ。日程の間違いを気付いたことは褒めてやる。しかしその後が悪い。「30日にお伺いします」全然なっちゃいない。僕は28日で予約したんだ。どっから30日なんてものが出てくるんだ。クロネコに、しなければよかった。さっきから気が滅入ってばかりじゃないか。夕陽が沈む。今夜食う飯も布団もない。肩を下ろしてもう1度ファッションセンターしまむらへ足を運ぶ。「ここに来ると何かがある!」という中身空っぽのキャッチコピー。何かを探しに店内へ足を踏みいれる。何かというのは、具体的にいうと、今夜の下着とタオル。安いことは安いけど、気が滅入ってしまう。 |
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