2003年04月21日(月)  獅子奮迅。
4年間住み慣れたこのアパート生活もとうとう残り1週間を切った。6畳2間、リビング10畳。バス・トイレ別。日当たり良好。家賃3万3千円。外壁リフォーム。申し分ないこのアパートとももうお別れ。涙が出ます。実はまだ親しい友人6、7人に引越すということを言っていなくて、いつか言おういつか言おうと先延ばししているうちに、残り1週間を切ったので、何も言わないまま旅立とうと思う。電話が掛かってきて
 
「今何処にいるの?」
「え? 埼玉」
「埼玉って埼玉?」
「そう。埼玉って埼玉」
「寒い?」
「寒くないよ」
「ダサい?」
「ダサくないよ」
「つーか冗談ばっか言ってないで今みんなで飲んでるからちょっと寄ってよ」
「だから埼玉にいるって」
「ふぅん」
「だから今日は、ていうか、これから先何ヶ月か会えないんだ」
「で、何? もしかして今彼女とか来てんの?」
「だから埼玉だって!」
「へんな言い訳。埼玉ってどこよ」
「東京の上で茨城の左で群馬の下だよ!」
「ダサい?」
「ダサくないっつってんだろ!」
 
という会話が繰り返されることが安易に予想される。今年の初めは僕だってまさか5ヶ月後に埼玉にいるなんて予想していなかったわけで、自分の1年先のことなんて絶対に想像できないよなぁと僕はよく考える。1年後、僕はもしかしてロシアのダニーロフ修道院で僧になっているかもしれない。そういう可能性も否定できない。あらゆる可能性を否定できないことが人生なのだ。
 
今あなた達の横にいる彼氏や彼女。その人と1年後もそうやって一緒にバラエティ番組を見ながら笑っていられるかという可能性を問いた場合、やはり否定も肯定もできないでしょう。結婚による結びつきで果たしてそれは完成するのか。その絆は完遂されるのか。違うでしょう。人生は何かを狂わせる罠がいたるところに仕掛けられているのです。僕は鈍感だから1年置きくらいにその罠に引っ掛かって、5月から埼玉で生活するようになったのです。
 
実を言うと、すごく不安で心細くて、絶対泣く。絶対泣くぜオレ。なんていう気弱な強気な一面を覗かせたり隠したり、往々にして隠しているけど、そりゃあ不安ですよ。今日後輩から「ホントに辞めちゃうんですか?」なんて今更のことを言われたけれど、僕だってホントに辞めるんだろうか。と今でも思っているのです。4月25日付けで退職したとしても、何食わぬ顔で4月26日に出勤しても、皆驚きもせず、疑問を抱きもせず、ただ日常の延長として、僕を迎えてくれるのではないかと淡い期待を寄せているのです。
 
甘えたことを抜かすなこの野郎。と自分自身を叱咤激励。残り6日間。涙をこらえて頑張る所存で御座います。

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