2003年04月07日(月)  新生活は髪型から。
髪を切りました。今流行りか流行ってないのかわからないウルフカットでしたが、会う人会う人「髪切ればー?」と言うので、どうやらこの髪型は流行ってないということを確信し、髪を切りました。あの髪型で生活するにはポルノグラフィティのメンバーにでもならない限り無理だと思いました。
 
飲み屋に行っても「今まで最高何股かけたことある?」とか「教えて! ナンパの失敗談!」とか「彼女のひどい捨て方ベスト3!」とか僕の本質とは全くかけ離れた初対面の客に対して傲慢無礼の質問をされて甚だ困っているのはきっと、このウルフカットの所為だと心に強く確信し、美容院のドアを開けた次第でございます。
 
「いらっしゃーい。今日はどんな風に切るー? ウザいから坊主にするー?」
 
とこれまた客に傲慢無礼の問い掛けをするのは、僕の妹であります。妹は美容師であります。妹の美容院は家族割引があるので、心持ち料金が安いのであります。
 
「適当に、早く、洗え」
 
僕はシャンプー台で妹に断片的に命令します。僕は美容院でシャンプーをされることが、A4でコピーしたいのにB5サイズでプリントアウトして出てきたときの次くらいに嫌いでございまして、いつも妹には無常迅速、疾風迅雷にシャンプーを終わらせるようにと常日頃から口を苦くして耳にタコができるほど申しているのでありますが、
 
「だって、お兄ちゃんの髪の毛スゴイ傷んでて将来ハゲそうなんだもーん」
 
なんて尋常なことを申すので、ハゲたら困ると思い、結婚だってできないと思い、それ以上は何も言わず、黙って苦痛の時間に耐えるのであります。3日前の天気予報をビデオ録画で見ることと実の妹に頭を洗ってもらうことほど馬鹿馬鹿しいものはありません。
 
「さて、どういう風に切ろうかなー」
「真面目な好青年カット」
「何?」
「真面目な好青年カット」
「うん。無理」
 
と妹の独断で「真面目な好青年カット」は無理ということで「じゃあ比較的真面目に見られるような髪型にしてくれ」と意味不明の妥協をしてしまい「わかったー」と軽々しく応じた妹の散髪の力量に不安を感じながらもいつの間にやら熟睡してしまい「ここはどうする?」「もっと短めにしてくれ」「このへんもうちょっと切ったほうがいいかな?」「いや、これでいいと思う」という美容院の基本であるクエスチョン アンド アンサーは度外視されて「お兄ちゃん、終わったよ。起きて」という声と共に起こされて正面の鏡に映る僕の姿に驚愕。
 
「こ、これ、なんなんだ」
「東京カット」
「は?」
「埼玉カット」
「今言い直しただろ!」
 
というわけで、心機一転、春からの新生活仕様のヘアスタイル。埼玉カット。路上のティッシュ配りのお兄ちゃんが差し出したティッシュを断ることができず、取らざるを得ない気弱な青年を感じさせるヘアスタイル。小さなバッグの中には数十個のポケットティッシュと、地図。
 
「そんな小心で内向的な青年を意識してみました」
 
してみました。って。

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