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| 2003年03月01日(土) 唾の結晶。 |
| みんなああいうときってどうしてるんだろう。ほら聞いたことあるでしょ、パーソナルスペース。自分と他人との間にできる空間。コミュニケーションをとる相手との物理的な距離。パーソナルスペースには個人差があって、例えば外向的で対人関係に積極的な人は狭い。それだけ他人を近くまで近づかせることを許しているということで、逆に内向的で対人関係が苦手な人はそれが広い。 とまぁ別にいいんだパーソナルスペースなんて。そんな概念的なのか具体的なのかよくわからない事柄についてなんてどうでもいいんだ。パーソナルスペースの広い人は外向的で狭い人は内向的。それでいいじゃないか。別に。エレベーターとか、満員電車とか、そりゃ誰だって多少息苦しいですよ。 しかし確かにこの世の中にはパーソナルスペースが狭い人間が存在する。やけに顔を近付けて話をする人。周囲に1人はいるでしょ。それはね、パーソナルスペースの問題じゃなくてただ目が悪いとか耳が聞こえないとかそういう単純な理由なのかもしれない。別に理由なんてのもどうだっていいんだ。今日の日記はそこから発生する悲劇について。 人と会話しているとね、あぁこの人やけに顔近付けるなぁ。いやだなぁ。馴れ馴れしいなぁ。少し離れて話をしてくれないかなぁ。そんな大きな声出さなくても聞こえるんだけどなぁ。なんて思いながら話を聞いているわけですよ。いつの時代だって悲劇は計画されたものではなく、天啓の如く稲妻の如く青天の霹靂の如く訪れるわけであります。 ピッ。ってね。ピッ。って小さな小さな音を立てて悲劇が訪れるのです。ピッ。ってのはね、他でもない、相手の唾ですよ。唾というか、その、唾の結晶? まぁそういうやつ。辛うじて肉眼で確認できる大きさの唾ですよ。相手のその唾の結晶がね、顔にピッ、って付着するんです。あっ! こいつの唾が僕の顔に飛んできた! なんてびっくりするわけですよ。会話中に。だけどね、そんなこと言えるわけないじゃないですか。「コホン。失礼。会話を、止めたまえ。もはや周知の通り、キミの唾が僕の頬と目尻の間の箇所に飛んできた」なんて言えるわけないじゃないですか。だから僕は唾なんて飛んできても平気な人間なんだよ。と甚だ寛大な心を持って会話を聞き続けるんですよ。 もし、相手がね、自分の唾の結晶が相手の顔に飛んでしまったと気付いた場合ね、これはなかなか面倒なことになるんです。唾を飛ばしてしまった人は、あぁ、唾が相手の頬と目尻の間に飛んでしまった。恥ずかしい。凝視すると白い気泡まで見えてしまうようだ。どうしよう。しかし相手は自分の顔に唾が付着したことなんて気付いてないようだ。どうやら鈍感な人間のようだ。馬鹿かも、しれない。ってね! 気付いてるよ! 気付かないわけがないよ! だけど会話を遮ってまでそれを伝える意味がないからこうやって気付かない振りしてヘラヘラ笑ってるだけなんだよ! だいたいテメェ近付きすぎなんだよ! もっとこう、あっち行けよ! 喫茶店でテーブルをはさんだ距離くらいに離れろよ! 来んな! 唾、すげぇ気になる! と双方の思いが互いに意味もなく言葉もなく、頭の中で静かに、熾烈に、行き交うわけであります。僕はもう頬についた唾の結晶のことばかりが気になって、会話なんてほとんど耳に入っていません。唾を飛ばした相手だって自分が飛ばした唾の結晶のことばかりが気になって、もう、会話だって支離滅裂になってきました。甚だ不毛でございます。それもこれも、唾がいけない。唾を飛ばしたキミがいけない。僕は相手の唾の結晶が自分の唇に付着しただけで狂い死にしてしまうような人間なのです。 |
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