2003年02月02日(日)
カラム大統領さん



れん(曇り寒)

カラム大統領の著した本を読みました。
題名は「Ignited Mind」
とかく「ロケット博士」という名のもと、なかなか評価というか評判が分かれてしまうし(特に外人のなかで)、なかなか人柄も知り得ないもんで、彼の本でも読んで、彼がどんな人物か、まず自分自身で判断した方がいいかなあ、などなど。

この本は知人に薦められて読み始めたのですが、青年へ熱くメッセージを贈ってます。大統領は就任前の数年、インド各地の学校などを精力的に訪問し、子供や青年と触れ合い、彼ら彼女らのなかに、名実ともの大国インドの未来を見出した、と常々語っています。この本でも、その来る世代との対話のなかで、彼自身の印象に強く残った、子供たちの素直な疑問やアイディアを数多く紹介しながら、誠実に、また真剣に様々なコトを記しています。詳細は述べませんが、彼を知るにはなかなかの本だと思いますので、興味がおありの方は是非。

ということで、カラム大統領の人物評と読書感想。あくまで僕個人の評価ですので、まったくあてにしませんよう。どうか読み流して下さい。

全印人から「ロケット博士」と尊敬を集めているだけあって、やっぱりなかなかスゴイヒトっすね。ただ単にロケット作ったからスゴイヒトってんじゃないっすね。職人気質で仕事もすっごくできるヒトなんでしょうけど、それだけじゃなくってコミュニケーションがきちんとできるヒトなんですね。誠実さに感銘しました。自分自身に誠実で、他人にも誠実で。えらぶってないんですよね。子供たちとも誠実に、んで謙虚にコミュニケーションがとれる、そんなヒトだなあ、と。

んでもって、責任感の強いオトナなんでしょうね。スケールの大きな責任感。家族や自分の仕事に対してってのも勿論そうなんですが、それにもまして、自身の科学分野に対する、また、インドという国に対する、また、来る世代に対する、そんなでっかい責任感に燃えるオトナ、ってな感じで。スケールでかいっすよねえ。

科学者だけあって、やっぱりなかなか実際的なヒトっす。本文中でいろんな経験や事例などを丁寧に挙げて自分の意見を展開していくような辺り、きちんと結果を出してなんぼのもんやってなシビアな実務者的責任感漲ってます。しかしそれだけじゃなく、彼自身、敬虔なムスリムだし、かなりLOVELOVEインドなヒトだし、インドの哲学や歴史、詩や文学等々含蓄する所大なりで、謙虚ながら然し大胆に高きインドの理想を掲げ、それを達成すべき実際的なノルマとし、いかにして現実化していくかを真剣に問い続けてます。冷たき科学者の脳ミソと熱き詩人の心臓(実際、詩人なんです)とを併せ持ったヒトってな感じっすか。

チームワークを大事にするヒトなんですかねえ。ロケット開発に関わらず、何事も独りじゃできっこないっすからねえ。このバラバラインドでロケット作っちゃったんですもんね。スゴイことっす。上に書いたような人格的なイイトコないと、決してできっこないことっすよねえ。「ロケット博士」の尊称が「明るい未来インド博士」となることを念願して止みません。

読書感想文。
読んでてやっぱり気になっちゃうというかひっかかっちゃうことが二点。「愛国心」と「非暴力」。カラム大統領、非常に熱い愛国家。勿論、ガンジーやネルーも熱烈愛国家でしたし、また愛国家でなくしてあのような偉業も成し遂げられるものでないし、「愛国心」といっても偏狭なものではなく、そこから人類のみならず地球環境全体を抱きしめてしまいたくなるような、より普遍的な意味での「愛国心」なのですが、どうしても変に反応してしまっちゃいます。僕の育ちの問題もかなりあると思いますが、そこのところをアタマでなくカラダできちんと感じ、識別できるようにならないと。

んで、話は「ロケット博士」。彼も深くて広い「愛国心」を胸に、貢献という唯一字の下で、彼の在る場所場所で闘い続け、その持ち場がどんどんと拡がっていき、そしてインド共和国大統領という場で今も闘い続けているのですが、どうしても僕のなかですっきりこないのが、「非暴力」と「ロケット」開発という二つに、彼自身のなかでどうやって折り合いというか倫理的整合をつけてるのか。勿論、彼は好戦的ではまったくないし、平和を愛してるし、虐げられている人々をどうやって幸福にしていくかということが何よりも先ずのプライオリティだし、そういった高潔な人格者、この精神の大国インドの大地が産み落としたヒト、そして今、大統領という政治の場に立った彼だからこそ、核という、責任倫理じゃみんなぶっとんじゃうモノは、彼にとっていったい何なのか、そこんとこが是非是非。

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