ジョージの新作レビュー - 2002年11月18日(月) ジョージ・ハリスンの遺作「ブレインウォッシュド」を聞きました。 実にリラックスしたジョージらしいアルバムです。 というわけで早速レビューを! この新作、一部の情報では全25曲なんてウワサもありましたが、 フタを開いてみれば12曲。総プレイタイム50分弱。 1時間以上のアルバムは焦点がぼやけ易い、 アナログ2枚組みなら別だけど… が持論の刈田としては、アナログ1枚物を意識したプレイタイムに感謝! 残った音源はレアトラック集みたいなものに収録されるとうれしいですね。 さてプロデュースはジェフ・リン+愛息ダニー・ハリスンということで、 当然、ジェフ・リン色が強く出るだろう、 いわば「続クラウド9」を想像していたわけですが、 いざ聴いてみるとジェフ・リン色が意外と薄い! 「クラウド9」のときのように共作もありませんし、 コンポーズのクレジットはすべてジョージのみ(カバーのM10を除く)。 サウンド面も、きらびやかなシンセ、 フィル・スペクター直系の多重録音アコギ、 独特のドラム・サウンドも目だっておらず、 唯一目立つとすれば、M5の中期ビートルズ的ストリングスくらいのもの。 オーバープロデュースで知られるジェフですが、 ジョージの遺作ということで「フリー・アズ・ア・バード」、 「リアル・ラブ」以上に慎重に作業を進めたと思われます。 むしろダニーが主導権を握っていたのかも!? アルバムの印象は「カントリー/フォーク/ルーツロック色強し! トラベリン・ウィルベリーズっぽい!」。 M1、M2、M4、M11、タイトルトラックM12の前半、 ボブ・ディラン調のM3もトラベリンを思い出させますね。 でも「クラウド9」のジェフ・リン絡みでない曲を改めて聴き直してみると、 すでにトラベリン・ウィルベリーズっぽいんですよね。 さらに遡れば「オールシングス〜」以降、 AOR期以前のアルバムって全部トラベリンっぽかったような?と思ったり。 トラベリンというとジェフ・リンの手腕に目が行きがちですが、 音楽的主導権を握っていたのは実はジョージだったのでは? なんて思ってしまいます。 また久々のインド・テイストが登場してるのがうれしいところ。 M6のインスト曲、タブラの音色が耳に残るM12の後半など、 見事にラガーロックしちゃってます。 「マイ・スイート・ロード」「ユー」みたいなポップかつ、 決め手となる曲がないのが寂しいかもしれませんが、 これはこれで実にジョージらしいなぁ、と僕は思います。 それでなくても、何かを達観したかような優しい語り口の歌声、 全編に渡って聴けるスライド・ギターは誰にも真似できないものです。 個人的なベスト・トラックはM12とインスト曲のM6。 あとクラプトンの89年のアルバム「ジャーニーマン」に提供したM8から、 闘病中に作られたというM9の流れは、実に素晴らしい。 このメロウさはジョージ特有のもの。 そこいらのソフトロックを軽く超えてます。 こんな素晴らしいものを最後に残してくれてありがとう! と心から叫びたい気分です。 ちなみに本作の欧州盤にはDVDが同梱されたものがあるようです。 DVDって一体何が入ってるんでしょう。 気になりますねぇ…。 ...
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