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2003年06月04日(水)

苦労話

昨夜、少々遅くお相手の家に行くと、電話で誰かと話している模様。
どうやら、仕事の相談を看護士の友人にしているらしい。
10年以上のベテラン看護士の方曰く。

「ご老人というのは、人生の先輩なんだから」

とのこと。
若い人間にとって、全てのご老人は人生の先輩であるのだ。
だから、敬うべきじゃぁないかと。

昔はそうだった気がするが、今時、そう言える人って少ないと思う。
私の親は厳しかったので、気付いた時には、自然と親や年上の人間は敬うという感覚を持っていた。
まぁ、目の前で子供の頃から、事業の話などされていたら。
どんだけの苦労がそこにあるか、嫌でも分かるし。そのおかげで自分が育ってるっていう認識もできるってもんだ。
それに、我家の両親は親としての威厳っつーか、威圧感があったし。

商売をしている親に育てられた子供は、金銭感覚が自然と身につくという話を聞いた事がある。
そこから、やっぱり商才のある大人に育つらしい。
日常的に家でお金の出入りの話を聞いているからだそうだ。

世の父親には、飲み屋でそういう話をして、家では一切しない人も居るらしい。
かつて、父上の友人だった飲み屋のママさんは、きっと繊細な人だったのだろう。
色んな人の苦労や悩みや秘密を知って、それを抱えてるのは大変なのよと。
父上にだけ、こっそり言っていたという話を聞いた事がある。
小さい頃、私はよく父上に連れられて一緒に飲み屋に行っていた。
まぁ、多分。私のダシにつかって飲みに行ってたのだろうと思うが。
そのかすかな小さな私の記憶の中に残ってるのは、やっぱり。
浪花節を語り始める、丸まったオヤジさん達の哀愁が漂う背中だ。

「俺が若い頃は金が無くてな。」

なんて話は、50代60代のオジさんから私もよく聞かされた。
時代が違うから、あまり想像がつかないし、ピンと来ないのだが。
見ず知らずの客である私に話すぐらいなのだから、その飲み屋ではいつもママさん相手にそんな話をする人なのだろう。
毎回、毎日。
そんな話ばかりを「うんうん。大変だったわね」と聞かねばならぬとなると。
水商売って大変だよな。
私だったら身が持たんと思う。

そんな水商売をかつてしていた知人の話で。
その店は、大企業のお偉いさんが通う店だったそうだ。
やっぱり、お偉いさんになるまでには、多大な苦労があり。
そんな話を聞くと、やっぱりそれなりの偉大な人はそれなりの苦労をしてきたと、改めて勉強になる。

某大企業の上の上の地位の方だという、私なんぞは普通に出会う事が無いような方は、若い頃には大変な苦労を為さったそうで。
「とにかくがむしゃらに。無我夢中で突っ走ってきたんだ。」
その結果が、今の地位だと言うのだから、素晴らしい。
その苦労は、私などには想像もつかないものだったのだろう。
高級住宅街に大きな一軒家を建て。高層ビルの最上階に個室を持ち。まさに雲の上の人に為られた。
そうやって突っ走って来た結果。今になって、やっと気付いた事があるという。
まさに人生は勉強だ。


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人生、何が起きるか分からないものだ。