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2003年06月02日(月)
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真夜中に思い出し笑い |
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唐突だけど。 友達っていうのは、なかなか凄いもので。
最近、転職活動を開始した子からメールが来た。 「そっちの仕事はどうよ?」 って聞かれたので 「毎月が、開けてビックリ玉手箱」 と返信。 すると、その10時間後に来た返信に
「余計なお世話かもしれんが。人に金貸すなよっ!ビシっ」
と書かれてしまった。 よく、私の性格を御存知で。いや、今は貸してない。貸せないし。 でも、5ヶ月ほど前に数年会ってない相手に貸した。 勿論返って来てはいない。おほほほほほ。 これは、言わないでおこう。
さて。 昨日の夜中、ウトウトしかけた所で、突然頭に蘇った記憶。 あれは、何年前になるんだろう?10年経つかもしれないぐらい昔の話。
当時、勤めていた会社のその部署は。 それこそ、多分。いや、殆どの日本人が必ず使用かつ誰もが知っている大企業の機密事項なんぞを扱っている部署で。 そこから、天下りなのかどーかは知らんが、部長様としてお偉い方がいらしてた。 普段、「チミねぇ〜」なんて私達を扱っている同じ部長職の人が頭を下げるのだから、きっと偉いのだ。ケタが違う偉さなのだろう。
そんな大部長様のお宅へ、お正月に招かれた。 葉山の閑静な高級住宅街。森に囲まれた閑静な住宅街。だけど生活には不便な坂の上にある住宅街。 そこへ、部長(この部長も別大手企業の天下り)と課長(生粋の社員)と同僚のKちゃんと私でお邪魔した。 あまりにも綺麗に片付けられ、きっと高いのだろうと思われる品の良い壺なんぞがあって。 私達は、どういう立ち居振舞いをして良いのやらという具合だった。
通された部屋は、木々に囲まれている故、木漏れ日ってヤツがかすかに入る部屋。 大部長様は、上機嫌で仰った。
「ここは、日辺りが良くてね。冬でも温かいでしょ。暖房要らないんですよ。」
いえいえ。大部長様。 はっきり言って、ものすごーーーーーくっ寒いです。 もー、手足が悴んで、お箸が上手くつかめないほどです。
とは、言えず。 きっと皆も同じ気持ちだったのだろう。 あまりにもそれを分かるほどの愛想笑いを浮かべ、「そうですねぇ。温かいです」と大嘘をみんなでついていた。
これは、私の勝手な穿った感想なのだが。 お金持風な家であればあるほど。正直出される料理が質素・・・いや、健康的だと言っておこう。 大体、緊張感を解き放つ場も無い中で、物など食べれない。 元々私は正月のおせち料理の中に、好きで食べるものが少ないせいもあり、やはり箸が進まなかった。
と、あまりにも皆も食べないからだろうか? 大部長様が誇らしげに語り出した。
「我家は、妻が自然食に拘っててね。野菜は全部無農薬なんだよ」
そう言われて、口々に
「ああ、やっぱり味が違いますね。色もいいですよね。」
などと、取って付けた事を言い出し、仕方なく野菜類に箸をつけ始めた。 そんな中、生粋の社員である課長(男)はと言えば。一人マイ・ペース。 彼だけは、最初からモクモクと何かをチョコチョコ食べていた。 この課長は、本当にノンビリしていて、女性ばっかりの部署において、どんなに忙しくて周りがピリピリしていても、一人ほのぼのしている人だった。
その課長がおもむろにその時、プチトマトに手を出した。 お皿にコロンコロンと入っているプチトマト達を、正直言って、私達はどうやって食べて良いのか分からずにいた。 箸で取るべきだろうか?でも、上手く取れなかったらいけないし。 そんな不安を余所に、彼は手で一つ摘むと、そのまま口へ。 勿論、ヘタは取ってない。そして、それは「プチ」と言うには少し大きすぎた。
課長が「プチ」を一口で口に無理に入れてしまった・・・と思った次の瞬間。
ピュッっと出た。
そうだ。確かに、パンパンで美味しそうな「プチ」にしては大きなトマトだった。 それを、口に入りきらぬ状態で噛んだらどうなる? そんな事は、誰だって想像できるだろうに、なぜに課長は想像しなかったんだろう?
出た瞬間に、それこそ、私は今口に入れたばかりのキュウリの漬物を噴出しそうになった。 それは、隣のKちゃんも同じ事。 しかし、噴出すわけにも行かない。笑うわけにもいかなかった。 出した当人の課長は、笑っていた。 「あっ」と言って、笑いながら飛んだ先を拭こうとお絞りを手にしていた。
飛んでった先。 それは、大部長様の頬。 さっきまでは、頬骨が出っ張るほどに笑顔だったハズの今は真顔な大部長様の頬。
いや〜。苦しかった。 本当に、あんなに苦しかった事は後にも先にも無いぐらいに苦しかった。
物凄い失態をしたハズの課長のひょうひょうさと。 部長の慌てた表情と。 大部長様の引きつった顔と。
全ては、一瞬の出来事なのに、思い出すと全てがスローモーションで。 そんな事を昨夜、急に思い出して暗い布団の中で、一人声をたてて笑っちまったって訳だ。
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