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2003年02月27日(木)

道を歩けば・・・

先日、久しぶりに都会に出た。
仕事の面接だったのさ。

フリーはしんどい。OLがいかに良かったか。
独立して早4年。
それを、今更ながら、まさに実感している今日この頃だ。

ともかく、経歴を見て何か気になったらしくお呼びが掛かった。
普段はジーンズにトレーナーという、主婦より酷い格好をしている私が「まとも」になる珍しい日だった。

黒のジャケットに黒のハイネックに黒のパンツに黒の靴に黒のバッグに黒の書類ケース。
全身黒尽くめもいいとこだ。
仕方ないので、一応、数年ぶりと思われるネックレスなんぞを付けておいた。

勿論、化粧もした。
とは言っても、直前に履歴書を作ってみるといういい加減さのせいで、すっかり時間が無くなった。
よって、ファンデーションを塗って口紅を塗っただけ。
ビューラーもマスカラも、ともかくその他のオプション無しだ。
一応、髪の毛にワックスは付け、セットをしたつもりだ。

女は化けるものだと常々思う。
眼鏡をかければ「頭が良さそう」だと言われ。
スーツを着れば「仕事が出来そう」だと言われ。
ついでにヒールでカツカツ歩き、書類ケースなどを持っていれば「バリバリのキャリアウーマン(死語?)」だと言われ。
ちっと重ね着なんぞしてみれば「やっぱりデザイナーだ」だと言われ。

しかし、今現在の私に出会っても、誰もそうは見ないだろうに。
どっかでパートで働くフリーターを思われても、そう不思議じゃない。
現に、仕事関係以外での知り合いで、私の職業を理解する人は少ない。
例え説明しても、何か半信半疑な視線を感じるほどだ。

まぁ、ともかく、まともな格好をして東京に出た私は、数年前の自分を少しだけ思い出していた。

面接では、私はタヌキを被る。ネコじゃないのだ。タヌキなのだ。
いや、わざとそうしてる訳じゃない。初対面の緊張感があるからだけなのだが。
しかし大概、化かされたと後で思う人が多いから、仕方無い。
きっと、被ってるんでしょう。へん。って感じだ。
面接が無事に終わり、ビルからでてすぐに携帯の着信に気付いた。
電話をすると、印刷依頼で急いで自宅に戻らねばならなかった。
気が抜けたはずなのに、またお仕事モードだ。

面倒な仕事依頼だっただけに、私の顔は険しかったはずなんだけど・・・

駅に着くと声を掛けられた。
私は、歩くときに人を顔を見ていない。わき目も振らず歩くタイプだ。
目の前には、茶髪というより金髪状態のコギャルが二人。
マイクロミニのスカートに厚底ブーツ。
仲良く腕を組んで私に話し掛けた。

「あのぉっ 羽田に行きたいんですけどぉっ」

あきらかに、どっかの地方の訛りが入っている。
羽田に行きたいと言う割には、荷物が少ない。ただの観光なのか。
しかし、残念ながら私は羽田に行ったことが過去一度しかなく。もう、忘れた。
忘れたので、適当に「多分、モノレールかな」と答えた。
それであってるのかは、知らない。

彼女達の後姿を見送って券売機で切符を買って振り向くと、また声を掛けられた。

「○○まではいくらでしょう?」

駅名は忘れたが、運賃がいくらか?といきなり聞かれた。
券売機の前でだ。オバちゃんにだ。

一瞬なんだ?と思ったが、仕方なく運賃表で探してあげようとした。
すると、オバちゃんの隣にはおじちゃんが居るじゃないか。
そのおじちゃんは、さっさと切符を買おうとしているじゃないか。
夫婦じゃないか。旦那が居たんじゃないか。旦那は聞く気も無いみたいじゃないか。

どうやら、オバちゃんの独断によるズーズーしい行動だったと判断し、私はその場を立ち去った。

地元の駅に着いた。
お腹がすいてたので、ミスドに寄った。混んでた。
やっと順番が来て会計をしていると、待ちくたびれているらしい子供が私の横に来て、顔を見上げる。

「早く〜〜ぅ」「何してるのぉ〜ぉ」

ハッキリとは聞こえないが、小さな小さな声で私をせっついている様子だ。
振り向いたら、母親がいた。母親は知らんフリだ。
会計が早く終らないのは、店員が箱詰めやら飲み物を入れるのやらで、モタついているせいだ。

ったく。さっきの運賃聞いていたババーといい、この子供とその母親いい。
疲れる。

私は無言で子供を見下ろし、やっと会計が終って外に出ようとした。
扉を押したその瞬間。

こっちが出ようと押した扉に、おばちゃんが入ってきたんだ。
しかも、私が手をかけて押しているもんだから、その腕にぶつかってまで中に入ってこうとする。
咄嗟に口からついて出た言葉は

「ババァッ!!」

であった。
思いのほか、大きめな声が出たと思われるし、しっかり耳元で言ったはずなのに、振り向きもせずに店内に入っていったおばちゃん。

怒りより、ともかく疲れた。ヘロヘロだ。

そう言えば、その日の朝、お相手の家を出た途端にも

「駅までは、この道ですか?」

と聞かれたのを思い出した。

一体全体、私が外を歩いたっつーだけのことで、何が変ると言うんだろう。

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