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2002年11月22日(金)

営業マン君

歯医者の前は、飲み物食べ物に気をつけなければならぬ。
だから、コーヒーは、朝の一本で止めといた。
なのに・・・
なんで・・・

歯医者に行く30分前にトンコツラーメンなんて食べちゃったんだろう(TT)

特に本日は、待ち時間が長く、歯を磨いてから1時間も経っての診察。
自分で分かるほどに、お口がトンコツ化しとりました。
特に、型を4つも取るために付きっきりだった助手の方、どーもすみませんでしたっ

その長い待ち時間の間に、歯医者に出入りする業者の営業マン君が2名やってきた。
まず、最初にやってきたのは、眼鏡をかけたごく平凡なスーツ姿の営業マン君。

「こんにちわ〜」

蚊の鳴くような声で、受付から奥に向って言うも、誰も出て来ず。
そのまま、彼はそこに佇んだ。
私は、見るものも無く、暇人だった。
だから、目の前に立った営業マン君の足元を眺めていたのだが・・・・・
心なしか、その足が震えているように見える。

まさかねぇ・・・
そう思いつつ、視線を上に向けると、やはり肩も腕も小刻みな気がする。
こなると、気のせいではない。
あきらかに、彼は緊張によってか、ガンガンの暖房も効かないほどの冷え性なのか、震えていたのである。

その震えは、最初は小刻みに。時折、ビクッと大揺れだ。
彼は、受付の姉ちゃんが出てくるまでの5分以上もの間、ずっと
カタカタカタ ビクッ カタカタカタ ビクッ
を繰り返していた。

その営業マン君が呼ばれて中に入った後、今度は下がスーツのズボンで、上が業者らしく青いジャンパーを来た営業マン君がやってきた。
彼は両手に小さ目のポリタンクを持ち、さっきの営業マン君よりは元気な声で中に呼びかけた。
しかし、案の上。彼もまた待たされた。
待っている間、両手にポリタンクを持つその姿が、まるで廊下に立たされた中坊のようだと観察していた。

彼は呼ばれて中に入っていったが、そんなに時間を要せず出てきた。
今度は手にナイロンの袋を持っている。そして、戻ると満タンになったポリタンクを運び出し、外に持って出て行った。

戻ってきた彼は、営業カバンを持っていた。
カバンからファイルと伝票らしきものを取り出すと、両手が一杯になったらしい。
彼はどうやら、ボールペンを肩にあるポケットから取り出したいらしいのだ。
一体この不器用な青年は、どうなさるおつもりか?
観察していると彼は徐に ファイルを足の間に挟んだ。

まぁ、そこまでは良し。今時珍しいなとは思ったが、そういう方法もあるだろう。
でも、私だったらそのファイル。営業カバンに立てかけて床に置くがな・・・
彼の面白さは、ここからだった。
受け付け姉ちゃんに伝票を渡したい彼は、それはそれは器用に、
ファイルを足の間に挟んだまま、横移動したのだ。

一度なら、見なかったことにしてあげたいのだが、今度は自分のカバンから中身を取り出すために、
またもやファイルを足の間に挟んだまま、横移動したのだ。

それを、彼は私の目の前で2往復もやってくれた。
苦しかった。かなり、苦しかった。下を向いてニヤニヤしてしまったほどに可笑しかった。
その後、彼はやっと足の間のファイルも受け付け姉ちゃんに渡す事ができ、足の自由を得る事ができた。

そして、次に何をするかと思ったら、一度カバンから取り出したピンク色の長いものを、また元に戻した。
その少し前、彼は「これ、箸置きなんですけど」と言って手渡していたので、
(っつーか、本当に箸置きだったのかなぁ?粗品で箸置き?)
もしかしたら、渡したのを忘れてまた渡しそうになったのか?と思った。
しかし、違った。最後の最後。
サインを貰った彼は、また改めてカバンの中からピンクのものを取り出し、
「これ、カレンダーなんですけど、宜しかったら」
と言って手渡していた。
どうやら、粗品と一緒にカレンダーは渡してはいけなかったらしい。
サインをもらう前でもいかなかったんだと思われる。
そうじゃないと、彼の行動に説明がつかない。

友人の旦那が、病院に入っている製薬メーカーの営業マンをしている。
彼の話によると、接待だーの、お土産だーのが大変なのだそうだ。
時には、医者の引越しにまで休日に借り出されていたりもしてた。
きっと、今日あったあの営業マン君たちにも、様々な苦労があるに違いない。

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