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2002年11月13日(水)

一周忌

2-3日前から、何故か花粉症のような症状に悩まされ。
それが、昨日には風邪の症状だと発覚した。

昨夜、夜勤に行く前にお相手に電話で
「お前、明日何時に起きるんだ?」と聞かれ、
「う〜んと・・・8時半過ぎに出るから、8時かな」と答えたところ笑われた。
どうやら、出かける30分前起床では、女の用意として短すぎるらしい。

電話を切った後、ハタと気付いた。
違う違うって。8:30に我姉妹の家ってことは、7:30過ぎに出るんじゃん?
慌ててお相手に電話をし直し、夜勤から帰ってきたら起こすように時間を訂正した。
勿論、自分の携帯の目覚ましも、いつもより音量を大にし、7:05に合わせた。
それだけじゃ足りず、我姉妹2号にも電話を入れ、7:30に電話を入れるように頼んだ。
完璧だ。3重に目覚まし部隊を配置したのだから、寝坊は有り得ないだろう。

何故に、そこまでしたかと申せば。決して私が寝ぼ助だからだけではない。
一年前の告別式に寝坊をして間に合わなかった故の教訓だ。

そんな訳でそれでも、あまり早めに寝る事が出来ず、1時に就寝した。
そして、朝になったらしい。
「おいっ!目覚まし鳴ってるぞ」
と、夜勤から帰って来たお相手に言われ時計を見ると、既に予定より10分過ぎていた。
そして、お相手に「俺が帰ってこなかったらどうなってたか」と恩を着せられつつ、用意したのである。

久々に化粧をした。
が。下地をまず忘れていきなりリキッドファンデを塗った。
ついでに、その上から粉をはたくはずが、それも忘れ、きっちり口紅だけ塗った。
カサカサの少々の粗を隠す程度の化粧をし、急いで出かける事になった。

我姉妹1号の旦那である義兄が亡くなったのは、去年の今日。
病室に義兄の家族が入っている中、私は一人で病室の外にいた。
時々、我姉妹たちの義兄を呼ぶ声が響く中、ぼーっと飲み物を抱えて椅子に座っていた。
そして、なんとなく。そう。
なんとなく、一服してこようと思って駐車場の自分の車に行った。
10分ぐらいたったころ、病室に戻る廊下で、我姉妹1号と母上に会い、義兄が亡くなったと聞いた。
もしかしたら、私が一服しに病室を後にした時、「俺も行くよ」と義兄も付いて来ちゃったのかもしれない。
だとしたら、きっと病室に戻って本人が一番ビックリしただろう。

あれから、一年が経ち、我姉妹1号は二人の子供を抱えた未亡人となり・・・

お盆の時に、父上の所へ来たお坊さんに母上が
「この子(我姉妹1号)も、旦那を去年亡くして新盆なんですよ・・・」
と言うと、その若いお坊さんはつやつやした顔を曇らせ、神妙な面持ちになったそうだ。
しかし、次の瞬間、我姉妹1号が

「旦那が亡くなって、やつれるどころか太っちゃって」

と言うと一転、そのお坊さんは大笑いしたそうな。
だからして、今日の最大の心配事は、パンパンに太った1号の動きだった。

1号の娘の手によって辛うじて無理矢理閉められた喪服のチャック。
自ら申告していたように、パンパンの喪服によって動きがロボット系、もしくはギブスを嵌めた星飛雄馬系になるに違いない。
運悪く、その場でパパパンっっと、服が弾ける可能性もある。
でも、生憎、そんなことは起こらずに無事済んだ。

その代わりと言ってはなんだが。
料理を食べる時、母上が箸袋を取り出した際に、一緒に入っていた楊枝を勢いよく飛ばしていた。
私の車を運転していた我姉妹2号が、私が渡したシートベルト止めを分解しようとして、勢い余り、顔面に飛ばしてぶつけていた。
これは、相当痛かったらしい。
が、その後、飛んでしまった部品はシートの下に入ってしまい、装着する事は出来ず。
2号は結局ぶつかり損となった。

そんな事をワーキャー言ってる車の中で、後部座席に居た我姉妹1号の息子。
故人の息子であり、私の甥っ子である高校三年生の思春期青年は押し黙ったままだ。
ふいに、2号がチラッと息子に目を向けた。
どうやら、鼻炎で詰まった鼻息の音が、2号には寝息に聞こえたらしい。
相変わらず、2号はマヌケだ。
彼の性格を考えたら、自分の母親も居ない人の車で眠るような無邪気さは、彼にはもう無いのだ。

実は、私は本堂にて御焼香をする時に、息子君の足元に注目をしていた。
彼は、スニーカーソックスを履いていて、それにしてもその丈は短すぎだった。
大体、今はもう冬に近い季節なのだ。何故に靴を履くと素足に見えるソックスが必要なのだろうか?
お母さんが、ちゃんと洗濯をしてくれてなくて長いソックスが無かったのだろうか?
そして、もう一つ。
今日のその髪の毛は、やはり流行りの無造作ヘアーとしてセットされたものなのか?
それとも、単なる寝癖なのか?

数々の疑問はあれど、優しい叔母ちゃんは、あえて息子君には聞かない事にしているのだ。
難しい年頃だからね。
そんな無愛想で近寄り難い雰囲気の息子君は、私の
「ガム食べるかい?」
との私の問い掛けに、返事もしなかったね。
だけど、ちょっと前のめりになって、ひょいっと手を差し出したね。
この手の平に乗せてくれってことだったのだよね?
有難うの一言も言わずに食べてた息子君だけど。

まぁ、いいさ。
義兄が居なくなった後も、息子と娘は着々と育っているよ。
妻である我姉妹1号も、別の意味で着々と育っちゃってるよ。
みんな、相変わらずさ。

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