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2002年07月23日(火)
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口封じ |
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暑いです。 本日水曜日。 夏休みの絵日記を、一日もさぼらずつけたあたしとしては、空白があるのはいかがかと。 そんなバカたれな拘り捨てた方が宜しいかと。うむ。 火曜日のこの日は、とにかく仕事仕事仕事に仕事って感じで、父上の月命日のお墓参りすら行けずに一日が終った。
午前中、あたしはこってり暇だった。 だので、作りかけの猿を描いて、夕方にでも出かけようと目論んでいたのだが。 一通のメールによって、その野望は打ち砕かれた。これは、仕事の愚痴である。
先週の金曜日にまず見積依頼がきた。 通常、PDFを送信してくれるはずが送ってこない。 確認のため電話をすると、その男性は「印刷物しかない」と言い張る。 そんな事は無い。昨年の8月に、確かに何度も貴方の上司とPDFでやりとりしている。 でも、「無い」っつーんだから仕方無い。FAXで確認するので送ってくれと言う。
あたしの仕事の納品形態は、「印刷物」か「PDF」のどちらかである場合が多い。 その確認をする。担当の男性は、「印刷物です」とハッキリ言った。 しかも、「200部ほど」と部数まで言った。 だから、あたしは金曜の夕方で捕まらない印刷業者のために、土曜日までも見積だけの為に仕事に使った。
しかしだ。メールがきた。何故か、担当が男性から女性に変わっている。 「今回は、印刷はしないのでPDFのみで結構です」
がーーっっ!!あたしの土曜を返せっ!と頭にきたが仕方無い。過ぎたことだ。 そして、添付されてきた画像を使って修正作業に取り掛かる。 修正自体は簡単だし、なんてったって、見積金額もあたしの一時間の時給換算程度しか取れない。 さっさと終らせたいと思う。思ったのだが、あたしは根が親切設計だ。
PDFという代物。ネットで配信する書類であるからして、ファイルサイズは出来る限り軽いに限る。 しかしだ。専門的なことなんで省くが、このカタログ。元が印刷物なだけに元々、画質はとてもよく、よって使用されているファイルサイズはめちゃデカい。 そこへ、修正してくださ〜いと渡された画像。これがまた、画質が粗い。 そう。バランスが取れないのだ。 この画像を綺麗に出そうとすると、ファイルサイズがめちゃ大きくなる。 かといって、ファイルサイズに気をとられると画質が悪い。 そんなこんなで、間をとろうと何故か苦労してしまったあたし。
大体。送ってきた画像が悪い。それが見えるかどうかなんて、あたしが心配する必要があるような無いような・・・ この時点で既に、余計な気苦労な気がした。したが、結局、2時間近く調整にかかって納品した。
ところが。電話がきた。なにやら、印刷物と違うという。 正直、大したことじゃない。あたしのミスでもないし、気にする必要さえ感じないこと。 でも、お客様だ。分かりました!とまたもや修正作業に取り掛かる。 と、ここで、フっと人の良さが頭を出した。 「あの・・カラーコピーで配布なさるんですか?」 思わず、担当に心配の電話をしてしまった。そして、自分の仕事を増やすハメに。 カラーコピーで配布するってからには、画像がある程度見えなくては困るだろう。 今の状態では、画面で拡大表示すればなんとか見えるが、コピーでは無理だ。 気のいいあたしは、「では、ファイルサイズは重くなりますけど、高解像度でおつくりしますね」と言った。 あんなに、ファイルサイズを小さくする事に時間を費やしたと言うのに。このザマだ。
念のため、「プリントしてみて如何でしたか?」なんてサービス発言までしてしまうあたし。すると、 「プリントは出来たんですけど。なんででしょうねぇ?本みたいに頁の部分が白くなるんですよ」
意味が分からなかった。えー・・・すみません。どういう風に?と聞き返した。 「白いフチが、下のほうにいっぱいできてしまって・・・」
・・・・・・・・「そのフチは、上も横も全部とられてます?」丁寧に尋ねた。 「ええ。全体的に白いフチが取られてて。PDFはちゃんとなってるんですけど。サイズは、A4ですよね?」
はい。A4です。間違いなくA4です。レターサイズのものをA4にしろと前に言われて、大変苦労したので、限りなくA4です。 あたしのお客様。皆さん、業種が違うゆえかどーかは知らんが、ビックリする質問を良くしてくださる。 お宅の会社のコピー機のことや、プリンターのこと。PCの環境なんて、あたしには関係ねーだよ。社内で聞きやがれっ! 何度思ったことか。しかし、あたしは答えるのである。
「それは、プリンター側の設定なんだと思いますよ」
そう。例え会社で使用してなくとも、自宅にプリンターを持っている人。今の時代は「フチなし印刷」が出来るプリンターが出たが、お分かりのはず。 必ず、マージンってやつを上下左右にとってしまうのだ。
「お使いのプリンターが分からないのですが、設定画面があったら、そこで印刷領域とかの設定ができると思いますので、そちらで最大になさるとか」
アドバイスまでしてあげた。何故に知らないのだ?今まで、プリントしたことが無いのか? まー。いいや。とにかく、今度は画像が鮮明に出るようにPDFを作成し、またもや人の良さをかもし出して自分のプリンターで確認。納品した。
もともと、この会社。トンチンカンが多くて社長にもよく愚痴る。 今回の一件も文句言ってやろ〜っ!って思っていたらメールが来た。 「ご無理を聞いていただき有難うございます」
くぅ〜〜〜っっ!低姿勢じゃないすかっ! やられました。低姿勢でこられたら、文句は言えません。まさに口封じメール。 この時点で時刻はもう16時をまわっていた。父上の墓参りに急がねばっ! しかし、電話は鳴った。まったくもって、容赦無い。社長からだった。 何度も書くが、あたしが相手にしているお客さんは、あたしの仕事について何の理解も無い人ばかりだ。 ファイルが無ければ作れないとか言ったところで、それを飲み込んでもらうのにも一苦労することが多い。 魔法じゃないんだから、コピーのカタログが、データ化されるわけねーだろーが。 写真データが無いのに、白黒コピーからカラーのもんが出来るわけねーだろーが。 そんなことすら、理解してもらうのが大変だ。面倒になるとすぐに他に出すと言い出しやがる。 他に出してみやがれっ!あたしが出来ないっつーもんは、余所でも出来ねーんだっ!
しかし、この不況。出来るだけ作業してお金はいただきたいという状況。 よって、その面倒な説明を何回も分かり易くしなければならない。 社長の電話は、そのための表つくりと説明文作りの指令であった。 あるひ:「わかりましたよ。父上の墓参り行けないんすけどねぇ」 とりあえず、嫌味を言ってみた。仕事なので仕方ないと思うが毎月行ってるのを社長は知ってるので一応伝えてみた。 社長:「他に仕事なかっただろー?行かなかったのはお前が悪い」
この社長。社長を通さずあたしに仕事が来てることを知らない事が多い。多すぎる。 だので、言ってやった。 あるひ:「社長が知らないところで、あたしは大変なんすよ。仕事がわんさかあったんすっ!」 少々、あたしはキレ気味であった。少しは仕事を把握しやがれっ!もう少し苦情を言おうと思った。しかし。
社長:「ぅ〜〜〜わんさくんっ!?」
・・・・・・わんさか=わんさくん 下らなすぎて、声が出なくなった。大体、わんさくんなんて、懐かしすぎる。 あたしは我姉妹のお下がりの筆箱が、確かわんさくんだったと思う。 さすがは社長だ。脱力のままに、口を封じられ電話を切ったあたし。
その電話を切った後に、これまた他の仕事も入り、結局墓参りに行けず。 そのお寺さん。とても小さくて、夜になると門が閉まってしまうので17時前に行かないと無理なのだ。
そして、水曜である今朝。あたしは、本日は墓参り&歯医者のため「ほぼ休み」を勝手にとってあった。 しかし。いつもより1時間ほど寝坊をかまし、シャワーを浴びてメールをチェックすると・・・仕事だ。
そのお客さん。一年以上も前のカタログを何度も何度も修正したがる。 先月は、移転のため住所変更をした。これで、もう無いだろうと思っていた。 どう考えても、配布しているハズだから。 しかし、メールがきた。「修正依頼」と件名が。 「またかよ。ったく・・一体いつの納品物だと思って・・・」 とブツブツボヤキつつ内容を読んで、あたしの文句は止まった。
「今更ですみません」
お客さん、自ら「今更」と表現なさった。 これほど、自覚があり尚且つ低姿勢では、文句も出ない。どうだっ!って感じだ。 あたしの仕事関係の人は、本当にあたしの口封じ(文句封じ)が上手すぎる。
そういえば。去年の夏もあった。急ぎだ急ぎだと言われ、けれど季節はお盆だ。 お盆休みが欲しかった。父上の新盆もあるしで、休みが欲しかった。 一応、何気に「お盆もございますので・・・この納期では・・・」苦言をお客さんにポロっと言った。 でも、結局。お盆休み無し。納品した。 それでも、間に合わないものもあったらしく、他の業者にも出したらしいお客さん。 だったら、全部他に出せば良かったじゃん?あたしの盆休みどーすんのよっ! などとブツブツブツブツ思い、二度と仕事やんねーぞと思ったその時。メールがきた。 そのお客さんからご丁寧なお礼メールであった。
「あるひ様のおかげで、本当に助かりました。無理をしていただいて大変感謝しております。 他の業者に出したものは手直しで返って大変でしたが、あるひ様が納品していただいたものは、完璧でした・・・」
とにかく、ベタ誉めの大感謝がそこにはあった。 うむ。では、許そう。なんちゃって。 すっかり、あたしの文句タレ口は、封じられ、変わりににやにやに変化したのである。
これは、あたしが何時も手を抜かずに、親切に仕事をしてるからかしらね? うふふふふ。
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