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■ 金木犀
金木犀が香る朝の小道。自転車で走る。空は今にも雨が降り出しそうな重たい灰色。 それでも空気はとても清涼だ。
うっすら寒くて冷たい身体。でも腰の周りは湿った熱で温かい。自転車の後ろで次男が私の腰にしがみついて歌を歌っている。 今日は予定があって半休をとったので、私が彼を保育園に送る。 「それでね・・・あのね・・・・」歌の合間にもごもごしゃべりながら、時折思い出したようにぎゅっとしがみつく腕に力を入れる次男。
なるほどね。 夫がどんなに飲んで朝方帰宅しようとも、ぜったい息子の保育園の送りはサボらない。そのわけはこれか。 そういえば、「あの時間が好きなんだよなぁ〜」と、ゆるんだ顔で言ってたね。
これでまた、金木犀の香りで胸がきゅぅっとなる曖昧な理由が一つ増えた。いつも立ち止まって振り返る、その香りに。
「季節の花 300」より
2004年10月08日(金)
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