羽生善治の「決断力」を買う。今とても売れている本だ。「とても」ってどのくらいだ、数量で示せ、と上司に言われるので言うと、先週の紀伊国屋新書ランキングで第4位、うちのグループ店では過去一週の売上げ合計が15冊(そんなでもなかったな・・・)という具合に売れている。 「決断力」というおっさん好みのタイトルが販売数を伸ばしているのかもしれないが、タイトルや見出しは編集が勝手に付けたっぽい。おれ自身「決断力」がどうのと言われて買ったわけではないが、読みかじったら単純に、羽生かっけー、と思ってしまった。(今、バカっぽい書き方してる気がする。)天才羽生の人間的な焦りや不安が垣間見られると、そういうもんかと思わず読ませられてしまった。文章も普通で読みやすい。俺みたいな素人文章にも誰か編集が芝刈りしてくれないもんか。しかし「将棋にかぎらず、考える力というのはそういうものだろう。何事であれ、一直線に進むものではない。私は、将棋を通して、そういう人間の本質に迫ることができればいいな、と思っている」「完成は、どの部分がプラスに働くというのではなく、読書をしたり、音楽を聴いたり、将棋界以外の人と会ったり・・・という様々な刺激によって総合的に研ぎ澄まされていくものだと思っている」というような言葉を読むと、一つのものを追求することで人間が練られているんだなと思わされる。職人の世界でもこういうことがありそうだ。羽生なんて中学生でプロ棋士になってろくに一般社会には触れていないはずだ。そういう世界にいるからこそ、積極的に人間的な成長を意識しないといけないってことなんだろうか。
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